○当事務所は、被害者側専門での交通事故事件が比較的多い方で、ここ2,3年常時20件以上の交通事故事件を抱えています。比較的と記載したのは、損保会社の顧問等をしている法律事務所などでは、常時数十件、或いは、数百件の事件を抱えている事務所もありますので、常時20数件はたいした件数ではないからです。
○しかし、扱っている20数件の交通事故事件は、いずれも、特に後遺障害内容・程度、或いは、過失割合が、保険会社との間で熾烈な争いとなっている難事件ばかりで、結構大変です。3,4年前までは多重債務事件が多かった時期は、殆ど事務員任せで良かったので、土日祝祭日の休日まで私自身が仕事をする必要はなく、休日はゆったり出来ました。ところが、ここ、2,3年交通事故事件が増えてからは、事務員任せには出来ず、私自身がしなければならない部分が多いため、土日祝祭日を交通事故事件の調査・起案に当てなければなりません。
○交通事故事件で、特に後遺障害の有無、程度・等級が争点となっている事件は、原則として、治療に当たった医療機関の医療記録を診断書のみならず、診療報酬明細(レセプト)、入通院医療記録(カルテ)、看護記録、更にX線、MRI、CT等の各種画像記録等一切の医療記録を証拠として裁判所に提出しなければなりません。更にこれらを説明するための医学文献等も証拠提出が必要で、その証拠書類量は膨大になります。
○しかもこれらの証拠書類は、ただ提出すれば良いというものではなく、裁判官に分かりやすく説明する準備書面を提出しなければならず、そのためじっくり読み込みが必要です。医師の作った医療記録は、手書きで且つ英語表記も多く、当事務所では、これらを医療記録一覧表として桐ファイルに原則として全部入力します。そのため医療英語辞典、カルテの読み方解説等の文献が必須になっています。交通事故は整形外科が多く、整形外科で使用する医療英語を当事務所なりに蓄積して自分なりの辞書を作りたいとも思っております。
○X線、MRI、CT等の各種画像記録は、そのまま証拠提出しても裁判官はなかなかじっくり見てくれません。先ず医療に素人の裁判官がこの各種画像記録を見ても意味が判らないからです。更にこれらの画像記録を見るためにはシャーカステン(レントゲン写真を貼り付ける白い電灯付きの器具で、通常、病院の診察室の医師の前にあります)という画像をかざして見る機器が必要ですが、裁判官室には置いてませんので記録を読むように簡単には見ることが出来ません。勿論、当事務所にはこのシャーカステンを備えております。
○X線、MRI、CT等の各種画像記録を裁判官にじっくり見て貰うためには、先ず、A4版の紙に印刷して記録内綴じて、他の記録と同様に読めるようにしなければなりません。そのため当事務所では、シャーカステンを備えて、シャーカステンに据えた各種画像をデジカメ写真に取り込み、これを桐de同時プリントによって紙に印刷して普通に記録に綴じて読めるようにします。しかし、このように読めるようしただけでは足りず、更に、この画像の意味を分かりやすく説明したコメントをつけなければなりません。当事務所は、これを「
桐による写真撮影報告書1」で紹介した桐画像処理システム桐de同時プリントで作成しており、後日、別コンテンツで紹介します。