本文へスキップ

小松亀一法律事務所は、「相続家族」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

遺留分

40年ぶり改正相続法-遺留分侵害額請求権等に関する見直し部分条文紹介

○「40年ぶり改正相続法-相続の効力等に関する見直し部分の条文紹介」の続きで、「遺留分侵害額請求権」と「特別の寄与」に関する条文の紹介です。PDFファイルは漢数字による縦書きで見にくいので、算数字横書きに修正しました。どこかに修正ミスが残っているかも知れませんのでご注意下さい。


*********************************************

第五編第八章中第1044条を削り、第1043条を第1049条とする。
第1042条の見出し中「減殺請求権」を「遺留分侵害額請求権」に改め、同条中「減殺の」を「遺留分侵害額の」に、「減殺すべき」を「遺留分を侵害する」に改め、同条を第1048条とする。

第1040条及び第1041条を削る。

第1039条の見出しを削り、同条中「これを贈与」を「当該対価を負担の価額とする負担付贈与」に改め、同条後段を削り、同条を同条第2項とし、同条に第1項として次の1項を加える。
負担付贈与がされた場合における第1043条第1項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

第1039条を第1045条とし、同条の次に次の2条を加える。

第1046条(遺留分侵害額の請求)
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
2 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。
一遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第1項に規定する贈与の価額
二第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
三被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

第1047条(受遺者又は受贈者の負担額)
受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第1042条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。
一受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。
二受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
三受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。
2 第904条、第1043条第2項及び第1045条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。
3 前条第1項の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第1項の規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によっ
て遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。
4 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。
5 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第1項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

第1031条から第1038条までを削る。

第1030条に次の2項を加える。
2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

第1030条を第1044条とする。

第1029条の前の見出しを削り、同条第1項中「遺留分」を「遺留分を算定するための財産の価額」に、「控除して、これを算定する」を「控除した額とする」に改め、同条を第1043条とし、同条の前に見出しとして「(遺留分を算定するための財産の価額)」を付する。

第1028条中「として」の下に「、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に」を加え、「に相当する」を「を乗じた」に改め、同条各号中「被相続人の財産の」を削り、同条に次の1項を加える。
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

第1028条を第1042条とし、第五編第七章第五節中第1027条の次に次の14条を加える。

第1028条から第1041条まで削除

本則に次の一章を加える。

第九章特別の寄与

第1050条

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでない。
3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。
4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第900条から第902条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。