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小松亀一法律事務所は、「相続家族」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

相続財産

先祖名義の土地を自分名義に登記したいとき2

○H18年2月5日更新情報で、曾祖父の相続人50数人に対して所有権移転登記を求めたことがあると記載しましたが、相続人が多数になると中には、戸籍上は存在するも、現実には所在不明の方も出て来ます。このような方は生死も不明です。

○この場合は戸籍の附票に記載された最後の住所地宛に書留郵便で事前の説明文書を送付すると転居先不明或いは宛所に該当者無しとの付箋が貼られた説明文書が返送されます。この場合、この転居先不明と付箋が貼られた封筒と可能であればその近隣の方からの行方不明者はしばらく前からここには住んでいないと言う報告書を取り、これを添付して公示送達の申立をします。

○公示送達の申立をしてその許可が出ると訴状が相手方に届かなくても届いたと同じ効果が生じます。公示送達決定が出た旨は裁判所掲示板に掲示されますが、行方不明者が裁判所の掲示板を見て、裁判所に出てくることはあり得ません。

○民事訴訟法159条に「自白の擬制」が規定されています。
(1)当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
(2)相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
(3)第1項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。


○通常送達の場合、裁判に欠席すると自白即ち訴状の請求を認めたとみなされますが、公示送達の場合は、上記の通り、擬制自白にはならず証拠調べが必要になります。しかし実質相手方が争っていませんので、殆どの場合、請求通りの判決が出されます。

○三代も前の曾祖父の相続人を探していると戸籍の記載自体が途中で行方不明になっている場合があります。例えば戦時中の空襲で戸籍を保管する役所が火事となり戸籍関係書類が消失し、その後復元に努めるも復元できず、そこで戸籍が途絶えてしまったままになっている場合が希にあります。

○この場合過去の戸籍上(改正原戸籍等)は存在するがその人物の現在の戸籍が不明であり、裁判所ではこのような場合も公示送達による判決を認めてくれたことがあります。三代も遡る相続人探しは戸籍を取り寄せるだけで大変な手間暇がかかりこの作業は専門の司法書士さんに依頼していますが、思わぬ問題が出てくることがあります。