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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故医学関連参考図書

交通事故賠償研究会”交通事故診療と損害賠償実務の交錯”紹介

○交通事故での傷害治療費は、原則として、健康保険は使わず自由診療として最終的には自賠責保険から支払われるのが一般的でしたが、最近は健康保険使用が増えてきているのかと、実感させられる相談を受けました。過失割合が明白に加害者100被害者ゼロの事案にも拘わらず、加害者側保険会社が被害者に健康保険使用を要請し、第三者行為傷害届を提出し、3割の本人負担分について任意保険会社が支払うことを医療機関に確約して、治療を受けているとの事例でした。

○ところが、整骨院治療については、健康保険使用だと治療部位の制約が生じて、被害者の希望する部位全部についての治療ができなくなるため健康保険は使わず自由診療での治療を受けることを被害者が加害者側保険会社に要請して、保険会社はこれを渋って揉めていると言うことで相談を受けました。保険会社担当者に電話して事情を聞くと、最近は保険会社も健康保険使用を要請することを原則としているということです。

○第三者傷害による治療費は、最終的には傷害を与えた第三者が負担する責任を負います。健康保険を使用してもその治療費について責任がある第三者が居る場合は、健康保険組合は治療費を第三者のために一時立て替えたとの考えで、第三者に求償請求をします。交通事故傷害のため健康保険を使わず自賠責保険或いは任意保険を使った場合でも、自賠責保険会社或いは任意保険会社が、最終的責任を負う第三者に求償請求をします。

○第三者行為傷害の場合、この第三者への求償請求を誰が行うかという問題になり、任意保険会社としては、健康保険組合に行って欲しいとして健康保険使用を要請することになります。この要請の根拠は、「最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものである」とする「昭和43年10月12日保険発第106号各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局保険課長国民健康保険課長通知」です。

○しかし、健康保険組合としては、その第三者に求償請求する手間暇が大変であり、また、第三者が無資力の場合結局回収できず、健康保険組合の負担になるリスクがあり、結局、交通事故で第三者に任意保険がついている場合、保険会社への請求に行き着きます。そこで、いくら前記通知があっても、交通事故については加害者側保険会社が負担すべきと健康保険組合は言いたくなるのももっともです。

○この問題を初め、交通事故治療費については、自由診療となった場合の治療費基準問題(過剰診療)や柔道整復師施術費の問題等色々問題があります。これらの問題を一気に解説する交通事故賠償研究会「交通事故診療と損害賠償実務の交錯」が平成28年6月1日初版第1刷が発行され、私も購入しました。以下、「はしがき」を紹介しますが、私もこれを読んで勉強していきます。