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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故医学の基礎等

交通事故被害(傷害)治療費と健康保険に関する通達

○交通事故による傷害については健康保険は使えないとの誤解もありますが、当然、使えます。その根拠になっている通達及び健康保険法、国民健康保険法の各条文を紹介します。

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<健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて>
(昭和43年10月12日保険発第106号各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局保険課長国民健康保険課長通知)

自動車による保険事故の急増に伴い、健康保険法第67(現行57)条(第69条ノ2(現行58条)において準用する場合を含む。) 又は国民健康保険法第64条第1項の規定による求償事務が増加している現状にかんがみ、自動車損害責任保険等に対する保険者の求償事務を下記により取扱うこととしたので、今後、この通知によるよう保険者に対し、必要な指導を行われたい。

なお、最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。

また、健康保険法施行規則第 52 条又は国民健康法施行規則第32条の2の規定に基づく被保険者からの第三者の行為による被害の届け出を励行されるよう併せて指導されたい。

おって、この取扱いについては、運輸省並びに自動車保険料率算定会及び全国共済農業協同組合連合会と協議済みであり、自動車保険料率算定会及び全国共済農業協同組合連合会から、各保険会社及び各査定事務所並びに各都道府県共済農業協同組合連合会に対して通知が行われることとなっているので、念のため申し添える

                           記
第1 組合管掌健康保険における取扱い
 健康保険組合における自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務については、政府管掌健康保険に関し、昭和43年7月25日庁保険発第8号をもって、社会保険庁医療保険部健康保険課長から各都道府県民生主管部(局)長あて通知した「政府管掌健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて(通知)」に準じて取り扱うものとすること。

第2 国民健康保険における取扱い
 別添「国民健康保険における自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱い要領」により取り扱うものとすること。

 別添 (略)

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健康保険法
第57条(損害賠償請求権)
 保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第1項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。

第58条(不正利得の徴収等)
 偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の場合において、事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、又は第63条第3項第1号に規定する保険医療機関において診療に従事する第64条に規定する保険医若しくは第88条第1項に規定する主治の医師が、保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該事業主、保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
3 保険者は、第63条第3項第1号に規定する保険医療機関若しくは保険薬局又は第88条第1項に規定する指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって療養の給付に関する費用の支払又は第85条第5項(第85条の2第5項及び第86条第4項において準用する場合を含む。)、第88条第6項(第111条第3項において準用する場合を含む。)若しくは第110条第4項の規定による支払を受けたときは、当該保険医療機関若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる。

国民健康保険法
第64条(損害賠償請求権)
 保険者は、給付事由が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付を行つたときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。次条第1項において同じ。)の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を免かれる。
3 保険者は、第1項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を第45条第5項に規定する国民健康保険団体連合会であつて厚生労働省令の定めるものに委託することができる。