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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故重要判例

行政書士有料メール相談料弁護士費用等補償保険金請求棄却裁判例3

○「行政書士有料メール相談料弁護士費用等補償保険金請求が棄却された裁判例2」の続きで裁判所の判断です。
行政書士の相談は前記の通り、「三 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。」ことで前条の規定では、行政書士の業務は、「官公署に提出する書類」その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成と定められています。ですから例えば自賠責保険金請求書作成等が該当しますが、この書類作成の相談だけで、34ヶ月間も継続して相談する必要性・相当性について否定されています。

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第3 当裁判所の判断
1 弁護士費用等補償保険金について

(1) 証拠によれば,原告は,本件事故後,平成21年11月6日からA外科整形外科に通院し,腰椎捻挫,左膝捻挫と診断されて治療を受けていたが,平成23年4月20日に腰部痛,左膝痛,左下肢しびれ感,左折れ感の障害を残して症状が固定した旨の診断を受けたこと(甲4,7,乙4),原告は,本件事故当時,有限会社aで運転手として稼働していたが,本件事故により傷害を負ったため,平成22年1月9日まで仕事を休み,同月10日に就労復帰した後は休業していないこと(甲12,13,弁論の全趣旨),原告は,本件事故により被った損害の一部として,B車について締結されていた自賠責保険の保険会社から,平成22年2月4日に89万8775円(うち5万3030円はA外科整形外科への支払分),同年3月11日に28万0860円(うち2万4990円はA外科整形外科への支払分),同年3月30日に2万0365円,平成23年8月8日に75万円(自賠法施行令別表第二14級の後遺障害分)の各支払を受け,その後,14級の認定に対する異議申立てにより平成24年4月11日に149万円(自賠法施行令別表第二併合12級の後遺障害分)の支払を受けたこと(甲10の1〜5),原告は,遅くとも平成21年11月頃から,Bの代理人である弁護士との間で,本件事故により原告が被った損害に関する示談交渉を開始したが,平成22年に入ってからは少なくとも同年7月23日頃まで同弁護士から原告に対して特に話はなかったこと(乙6),原告は,平成24年6月14日,交通事故紛争処理センター大阪支部に紛争解決のための申立てを行い,平成25年8月21日,審査会から提示された裁定案どおり,既払金364万円のほかに,434万9703円の支払を受けるとの内容で上記紛争を解決したこと(甲16,17,弁論の全趣旨),以上の事実が認められ,この認定を左右する証拠はない。

(2) 原告は,前記のとおり主張して,弁護士費用等補償保険金の支払を求めるが,C行政書士に対する相談の内容を具体的に認定し得る客観的証拠の提出はなく,上記(1)で認定した事実関係の下で,原告が,被告から支払を受けた19万円の範囲を超えて,平成21年11月から平成24年9月までの約34か月間にもわたり継続してC行政書士に相談する必要があり,かつ,その相談の内容が,行政書士法1条の3第3号に規定する相談の範囲内のものであったことを認めるに足りる証拠もない。
 そうすると,原告の本件請求のうち,弁護士費用等補償保険金の支払を求める部分は理由がない。


2 医療保険金について
 上記1(1)で認定したとおり,原告は,本件事故により傷害を負ったため,平成22年1月9日まで仕事を休んだが,同月10日に就労復帰した後は休業していないから,同日までに,「平常の生活又は平常の業務に従事することができる程度になおった」ものと認められる。そして,甲7によれば,同日までの実通院日数は51日と認められるから,原告に支払われるべき医療保険金の総額は51万円となる。

 原告は,同日以降も就労する上で14%以上の支障があり,平常の業務に従事できる状態ではなかった旨主張するが,「平常の生活又は平常の業務に従事することができる程度になおった」という要件が,完治を意味するものでないことは前記前提事実(3)イ(ウ)の定義規定から明らかであり,就労復帰後に業務を行うについて具体的な支障があったことを認めるに足りる証拠もないから,原告の上記主張は採用できない。

 以上によれば,被告は原告に対し,平成22年8月6日までに医療保険金として51万円を支払う義務があるところ,同年10月1日に45万円を支払うにとどまっているから,残額の6万円及びこれに対する同年8月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

3 後遺障害保険金について
 原告の後遺障害等級が12級であり,その場合の保険金支払割合が10%であることは,当事者間に争いがない。
 被告は,腰椎椎間板ヘルニアと本件事故との間に相当因果関係はなく,仮に相当因果関係があるとしても,原告の既往症が大きく寄与しており,5割以上の素因減額がなされるべきであると主張する。
 しかし,原告が本件事故前から腰椎椎間板ヘルニアに罹患し,これによる神経症状を発していたことを窺わせる証拠はなく,原告の上記後遺障害は,いずれも本件事故後に生じたものであるから,本件事故による原告車の損傷が見積額で10万円程度の修理により回復可能なものであったこと(乙5)を考慮しても,被告の上記主張は採用できない。
 以上によれば,被告は原告に対し,平成24年8月8日までに後遺障害保険金として100万円を支払う義務があり,これとともに,上記金額に対する同月9日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

4 結語
 以上の次第で,原告の本件請求は,上記の限度で理由があるからその限度で認容して,その余を棄却し,訴訟費用の負担につき民訴法61条,64条を,仮執行の宣言につき同法259条を各適用し,なお,仮執行の免脱宣言は相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。
 (裁判官 石原稚也)