○平成26年からさかのぼること19年前の平成7年に私が仙台弁護士会執行部宛に
日弁連交通事故相談センターと
交通事故紛争処理センターについて問題提起した文章が見つかりました。
当時は、平成26年現在当時とは状況が全く異なり、弁護士殿様商売時代であり、交通事故事件は、弁護士の職域としてはさほど重視されない分野でした。現在とは隔世の感があります。
以下、私の備忘録です。当時の交通事故問題状況が判ります。
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一 日弁連交通事故相談センター(相談センター)
1 相談センター概観
激増する交通事故被害者の救済を目的として昭和42年9月に日弁連によって設立された財団法人。運輸省が補助金(平成6年現在で3億8000万円で全事業費の74%)を出し、日弁連が人と場所を提供。
現在全国47支部108ケ所で無料法律相談。
主な業務内容は@無料相談、A示談あっせん、B審査、C交通事故損害賠償請求についての調査研究。
2 示談あっせん事務審査とその事業費負担者
国庫補助金による示談斡旋
受付は、相手方保険の種類を問わず行っている。事業費は国庫金(運輸省)による補助による。審査移行は出来ない。
※審査移行とは、保険会社に対して、保険会社が拒否できない−事実上拘束力のある−支払命令を出す手続に移行すること
・SAP関係物損事故示談斡旋
SAPの物損のみの事案の示談あっせん。事業資金は、損保協会から出されるが、審査移行は出来ない。
・全労済再共済連関係、日教済関係、JA全共連関係示談斡旋
事業資金は全額補助され審査にも移行できる。
・問題点
損保協会傘下の保険会社相手の示談斡旋は、審査移行が出来ないこと。
事業費は、物損のみの事案しか補助されず、人損を含む事案は国庫金の補助で行うことになるので予算の制限があること。
但し、仙台支部においては受付件数が極端に少なく予算の制限内に楽におさまっている。尚、本部に確認したところ仙台支部での斡旋回数は48回で予定しているとのこと。
3 相談担当弁護士への日当問題
・日当処理の現状
相談センターの交通事故相談担当弁護士には相談日1日につき(相談の有無に拘らず)4万円の日当が支給され、源泉分(2800円)及び同センターへの賛助金(1万1000円)を控除した残額2万6200円が支払われている。
しかし、担当弁護士はこの2万6200円を同時に弁護士会へ寄付することになっており当会相談センター会計を経由して全額基金会計に繰り入れられている。担当弁護士が受け取るのは領収証のみである。
・問題点
当会では会館における一般有料相談担当の弁護士が、月曜日以外は、同時に交通事故無料相談も担当し、一般相談は直受可とし、30分5000円有料なのに、交通事故相談については直受不可とし、無料(相談担当者に実質的見返がない)で行っている。無料のため交通事故相談の扱いがぞんざいになりがちなことは否めない。
担当者が交通事故相談にも真摯に取り組むためには日当を得ている自覚が必要であるが、2万6200円もピンハネされていることについての自覚も乏しい会員が多数と思われることも問題。
二 交通事故紛争処理センター(紛セ)
1 概観
昭和49年3月示談代行付保険の発売に際し、法的知識の乏しい交通事故被害者に公正妥当な損害賠償金が支払われることを保証する制度として同年2月に中立かつ独立の第三者機関として「交通事故裁定委員会」が発足。
これが昭和53年3月15日に・交通事故紛争処理センターとなり、交通事故についての弁護士の無償法律相談、斡旋、審査を実施。
2 示談あっせん、審査の範囲
受付は人損、物損、保険加入の有無を問わず行われている。
審査の拘束力は損保、全労災再共済関連、JA全共連関係に及ぶ。日教済のみ及ばない。
三 交通事故事件の活性化方策
1 法律相談センター交通事故事件検討部会案
広報、啓蒙活動の強化
@マスメディア利用
A各種交通事故相談担当者に対する広報
B外科、整形外科等医師への広報
・ 弁護士報酬制度明確化
@着手金定額化
部会案は一律20万円(訴額の多寡、示談訴訟問わず。但し、印紙代等の実費は別)
A報酬金による調整
B受任名簿の作成(但し、研修義務化しない)
2 東京三会交通事故処理委員会方式(委員会)
・相談センター東京支部の活用
相談センター東京支部の運営は委員会が行う。委員会は三会から嘱託された弁護士によって委員は40名(東弁20名、一、二弁各10名、任期2年)で構成。委員に加えて相談担当者40名(内訳同じ)の合計80名で相談及び示談斡旋を実施している。
相談は交通事故相談のみを午前、午後に受けて行っている。日当は、本人に交付。当会の様に全額ピンハネはしていない。
相談担当弁護士のため各種研修会が盛んに行われ交通事故問題について研鑽を積み、又、交通事故事件の受任も増えるため、2年の任期終了者は交通事故のエキスパートになるとのこと。
・ 事件受任システム
相談者の希望により相談担当弁護士の中から紹介。担当者自身の直受も認めている。
弁護士費用は
示談交渉事件は一律金15万円
訴訟、調停事件は一律金25万円(実費は別)
とし、報酬金を調整して日弁連基準に反しないようにしている。
委員会は着手金について紹介事案5%、直受事案は10%、報酬金は一律10%の寄付を受けている。
但し、これは、委員会内部システムであり、相談センター担当弁護士のみで運用。従って、常議員会等の決議を経ていない。
・ その他
東京支部は、都内各市の無料交通事故相談、損保協会無料相談担当弁護士を派遣。
電話相談も実施。
3 小松私案
登録制+研修制
交通事故問題の自覚の喚起
・ 弁護士費用明確化
示談交渉(相談センター、紛セの斡旋申立含む)で、相手方に任意保険がついている事案の着手金は一律10万円とする。
訴訟移行事案は日弁連基準による。この場合、先に支払った10万円は入金済として差引く(二弁の離婚相談と同じシステム)。
示談金交渉事件の報酬金は、弁護士の働きでアップした金額の一律1割とし、訴訟移行事案の報酬金は日弁連基準に従う。
(理由)訴訟費用の明確化は示談交渉事案に限定していよい。示談代行付保険金との対比で、10万円で弁護士が保険会社と交渉してくれることをアピールすれば足りる。
・ 広報強化
@A3二つ折でA4用紙4頁程度の交通事故専用パンフレットの作成
A委託相談所、県交通事故相談所、紛セ等各種相談所にこのパンフレットを置いて貰い、積極的弁護士利用を働きかける
B新聞で明らかな交通事故被害者に案内パンフを送付する位の積極性が必要。派遣弁護士と同じ発想。
・ 日弁連無料相談の強化
@ 現在月曜日を除いているが平成8年4月からは月曜日も含めて毎日行う。現在、月曜日が除かれているのは、当会で月曜日を除いて年度事業計画を提出しているから。月曜日も実施可能なことは本部に確認ずみ。
A 担当者に1件につき5000円の日当を支払い、かつ直受も認める。
B 一般相談との分離
交通事故相談は一日平均1件。登録弁護士の中から、担当者を午前と午後分け事務所待機方式とする。1日待機では負担が大きいが半日なら可能であろう。