○「
平成24年7月31日横浜地方裁判所判決紹介1」から、
平成24年7月31日横浜地方裁判所判決紹介6同6まで、同判決全文を紹介してきましたが、特に裁判所の判断が相当の長文になっており、脳脊髄液減少症に関係する部分について、私なりのまとめを備忘録として記載します。
○先ず事案概要です
・平成17年6月8日の交差点内における被害者の自転車と加害者四輪自動車出会い頭衝突事故
・被害者は、脳脊髄液減少症を発症し、H病院、J病院、K病院、B病院、C病院、L接骨院・Dクリニックに入通院治療を継続し、平成23年11月30日症状固定日となり、後遺障害等級は第9級10号と主張
なお、複数回受けたブラッドパッチについては、「ブラッドパッチにより髄液漏れは止まっているものの、原告の症状が慢性化して持続しているのは、減少した髄液量が均等に増加しないことや、損なわれた神経系が回復しないことが原因であって、ブラッドパッチの施術結果は脳脊髄液減少症を否定するものではない。」と主張
・損害は後遺障害等級は第9級10号を前提に逸失利益約2620万円を含めて約5000万円請求
・加害者は、脳脊髄液減少症発症を否定し自賠責認定の14級9号を主張
○次に裁判所の判断概要での、各病院診断経過概要は次の通りです。
ア H病院 平成17年6月8日救急搬送、頭痛の訴え無し、CT検査異常なし、頚椎捻挫等診断
イ J病院 平成17年6月9日から平成20年2月28日まで通院、X線検査異常なし、頭痛訴えはまばら、外傷性頸部捻挫、末梢神経障害と診断
ウ K病院 平成17年7月19日リハビリテーション科通院、外傷性頸部捻挫と診断
エ B病院 平成17年12月19日脳神経外科通院を開始、MRI上、低髄液圧症の所見・器質的病変もなかったが、低髄液圧症様症状持続のため平成18年11月9日、1回目のブラッドパッチ施行で低髄液圧症様症状著明改善、その後症状再発し、平成19年2月1日に頸部、同年5月24日腰部の各ブラッドパッチ施行も症状は一過性に軽減、平成19年7月30日から同年8月10日まで入院し、頸部に頸部硬膜外持続ブロックの施術を受け、一定期間症状軽減するも、再び症状が悪化し、担当医師は、平成19年11月15日、自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書を作成、傷病名は、頸腕症候群と低髄液圧症候群の疑い
平成20年8月18日、RI脳槽シンチグラフィー検査で、6時間後及び25時間後の状態を撮影するも医師2名が、髄液漏れの所見はないと判断
オ C病院 平成20年11月5日通院開始、平成20年12月1日頭部のMR検査では異常なしと診断、平成20年12月1日RI脳槽シンチグラフィー検査では、1時間後に膀胱内にRI集積、3時間後及び6時間後腰椎部からの漏れ画像、RI残存率は24時間後で17.2%、平成20年12月2日ブラッドパッチ施行後症状改善傾向で担当医師は平成21年3月2日復職可能診断、平成22年6月2日RI脳槽シンチグラフィー検査結果では6時間後膀胱内のRI集積あるも髄液漏出所見なし、24時間後RI残存率31%、
カ L接骨院 平成17年9月29日から平成18年10月31日まで通院、平成21年10月23日からDクリニックに通院