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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

始めに

対任意保険会社用交通事故訴状に伴う対加害者側用書面紹介

○「対任意保険会社用交通事故訴状書式1」、「同2」で、加害者を被保険者とする保険契約を締結した任意保険会社に対する直接請求の訴状書式を紹介しております。私は、大分類「交通事故」の中分類「任意保険会社への直接請求」で、繰り返し、交通事故訴訟では、任意保険契約を締結している場合、加害者或いは自動車保有者本人ではなく保険会社への直接請求を大原則にすべきことを力説し、数年前から私自身が受任する交通事故訴訟は、全て任意保険会社への直接請求方式で行って居ます。

○しかし、この方式は、平成24年2月現在でも、一般的ではなく、交通事故訴訟のスタンダード教科書である青本、赤本でも全く無視され、紹介されておりません。紹介されないどころか、赤本平成24年版375頁の注③では、「被告に誰を選択するかはその責任原因事実を異にするので、その証明の難易を考えて慎重に行うべきである。(中略)任意保険の場合、保険約款に基づき、被害者から保険会社に直接請求出来る場合がある。この場合、被保険者に対する確定判決の存在、示談の成立等約款に定められている条件を満たしていなければならない。従って被保険者に対する確定判決等がない段階で保険会社に対して訴えを提起するときは、被保険者とともに共同訴訟の被告とし、かつ被保険者に対する判決の確定を条件とする将来の給付の訴えの形式を取る必要がある。」と、いまだに約款(3)「損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対し書面で承諾した場合」の存在を知らずに誤った記載がなされています。

○私は、この任意保険会社(共済)に対する直接請求方式で既に数十件の交通事故訴訟を提起して少なくとも30件以上は判決や和解で解決してきましたが、1件だけ直接請求を激しく争われて、この点で判決を受けた例があります。相手はJA共済で、直接請求は出来ないとの理由を相当挙げて、徹底的に争ってきました。しかし、「保険会社(共済)への直接請求が激しく争われた例の初判決1」記載の通り、平成22年6月8日仙台地方裁判所判決(平成21年(ワ)第1629号損害賠償請求事件)この共済の理由は全て理由がないとして、直接請求を認めています。「保険会社(共済)への直接請求が激しく争われた例の初判決2」では、この事件での実際の準備書面の遣り取りを掲載しています。

○この保険会社直接請求での訴え提起には、初期の頃は、相手方代理人も裁判官も戸惑いを見せることもありましたが、保険会社の代理人は、形式的には加害者本人への訴えでも、実質的当事者は加害者本人ではなく保険会社である実態を熟知していますので、話の判る代理人はむしろ歓迎であり、直接請求にケチをつけることはありませんが、保険会社の意向を尊重する代理人は、保険会社の意向で何かケチをつけるべく訴状での「訴外○への損害賠償請求権不行使承諾」は要件を満たしていないとして、加害者(被保険者)本人に直接、請求権不行使の書面を送付されたいと主張します。

○この加害者(被保険者)本人への請求権不行使の書面のサンプルがないとのご指摘を受けましたので、以下に掲載します。これから、交通事故訴訟に熱心に取り組みたいと思っている若い弁護士さん各位におかれましては、是非とも、中分類「任意保険会社への直接請求」を熟読して頂き、保険会社への直接請求方式を大原則にして頂きたいと願っております。

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〒○ ○県○市
   甲野太郎様

私は、次の交通事故により負傷して加害者甲野太郎氏に損害賠償請求権を有しています。
(1)発生日時  平成年月日午後時ころ
(2)発生場所  仙台市青葉区号
(3)加害車両  普通乗用自動車(宮城○○○○)
(4)上記運転者 甲野太郎
(5)被害者   私(当時○歳)

そこで甲野太郎氏に対する損害賠償請求権者である私は、甲野太郎氏と株式会社損害保険ジャパンとの間の一般用総合自動車保険普通保険約款(以下、約款という)による自動車総合保険契約に基づき、株式会社損害保険ジャパンに対する平成○年○月○日付仙台地方裁判所第1民事部平成○年(ワ)第○号損害賠償(交通事故)請求事件訴状記載の通り、本書面をもって改めて、約款の被保険者である甲野太郎氏に対する損害賠償請求権を行使しないことを承諾します。
 但し、甲野太郎氏と株式会社損害保険ジャパンの間の自動車総合保険契約について、保険契約者或いは被保険者の故意によって発生した事故等の理由で保険金支払義務を免れ、私の保険会社に対する直接請求権が発生しない場合に該当しないことを条件とします。

平成○年○月○日

住所 〒982-0807
 仙台市太白区

通知人氏名 乙野二郎  印


(加害者と加害車両保有者が違う場合)

 そこで甲野太郎氏及び加害車両保有者である甲野一郎氏に対する損害賠償請求権者である私は、甲野一郎と株式会社損害保険ジャパンとの間の一般用総合自動車保険普通保険約款(以下、約款という)による自動車総合保険契約に基づき、株式会社損害保険ジャパンに対する平成○年○月○日付仙台地方裁判所第1民事部平成○年(ワ)第○号損害賠償(交通事故)請求事件訴状記載の通り、本書面をもって改めて、約款の被保険者である甲野太郎氏及び加害車両保有者である甲野一郎に対する損害賠償請求権を行使しないことを承諾します。
 但し、甲野一郎氏と株式会社損害保険ジャパンの間の自動車総合保険契約について、保険契約者或いは被保険者の故意によって発生した事故等の理由で保険金支払義務を免れ、私の保険会社に対する直接請求権が発生しない場合に該当しないことを条件とします。