○「
判例タイムズ2011/07/01号交通事故訴訟実務座談会紹介」を続けます。
●答弁書・被告の主張
被告として適正と考える損害額の主張まで出ればよいが、特にそこまでは求めていない。
●刑事記録の提出・送付嘱託
事故状況・過失相殺が争点になる事案、事故後の加害者対応を慰謝料増額事由と主張する事案では刑事記録が重要な証拠になる。
最近の刑事記録は検察庁で,肝腎の部分をマスキングすることが多くなりちと困っている。
不起訴記録については
平成20年11月19日付刑事局長依頼通達での不起訴記録中供述調書開示要件が重要。
以下の4要件
@民事裁判所から、不起訴事件記録中の特定の者の供述調書について送付嘱託があること
A当該供述調書の内容が、当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって、かつ、その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど、その証明に欠くことが出来ないものであること
B供述者が死亡、所在不明、心身の故障もしくは深刻な記憶喪失等により、民事訴訟においてその供述を顕出出来ない場合であること。また当該供述調書の内容が供述者の民事裁判所における証言内容と実質的に相反すること。
C当該供述調書を開示することによって、捜査・公判への具体的な支障または関係者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく、かつ関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること。
大阪地裁では、被害者本人が高次脳機能障害で法廷供述が困難になった場合の供述調書、人証法廷供述の矛盾がある場合弾劾証拠としての供述調書等不起訴記録の場合でも供述調書が送られてくることが増えている。
※この
平成20年11月19日付刑事局長依頼通達での不起訴記録中供述調書開示要件は,知りませんでした(^^;)。前記4要件はかなり高いハードルで、これらを満たすのは相当困難と思われますが、今後、事案によっては活用の検討が必要です。
当事者双方が事故時の相手方の信号が赤表示であったと主張する事案で証人がいるのか、いないのか、いたとしても何を言っているのかが重大な関心事になり、訴訟手続進行状況を見ながら、送付嘱託を何度か試みて最終的に送付してもらった例もある。
●医療記録の送付嘱託、医療記録の証拠提出
傷害の内容、事故と傷害の因果関係、後遺障害の有無・程度等が争点になる場合、殆どの事件で医療記録の送付嘱託がなされている。
病院側では患者本人の同意書が必要とするのが原則で事前に原告の同意書を取り添付して嘱託する例もある。
なかには被告側の送付嘱託申立に、例えば既往症が問題になっている場合など原告側が必要性を争って、どうしても同意書を出さない例もあり、文書提出命令の審理として、書面尋問書を送付して送られてきたこともある。
※医療記録送付嘱託については、私は原則として争いませんが、裁判官の話では、患者本人である原告の反対が相当多そうです。特に既往症がある場合など原告に不利になるとして争うものと思われます。裁判は真実の探求の面もあり、自分に不利と思われる医療記録は出したくない気持は判りますが、私自身は、正々堂々と逃げも隠れもしないと言う態度でやるべきとお客様にはアドバイスしています。