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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故重要判例

裁判所鑑定心因性視力障害で素因減額が否定された例1

○「ある交通事故事件の顛末−予想外の一審判決に驚喜・驚愕」で紹介した判例全文を複数のコンテンツに分けて紹介します。判決は約3万字に及ぶ長文であるところ、桐で作成する当HPは、1レコードで1コンテンツを作成するため一コンテンツの長さが3500字以内に収めなければなりません。そこで10回程度に分けて連載します。

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平成17年(ワ)第○○○○号,平成18年(ワ)第×××号 損害賠償請求事件
ロ頭弁論終結日 平成21年8月26日

判決

仙台市
原告         X
同訴訟代理人弁護士  小松 亀一
宮城県○○市
被告(○○○○号事件)  Y1
          (以下「Y1」という。)
同訴訟代理人弁護士  ○○○○
東京都千代田区丸の内1丁目 2番1号
被告(×××号事件)   東京海上日動火災保険株式会社
(以下「被告東京海上」という。)
同代表者代表取締役  隈  修三 
同訴訟代理人弁護士  ○○○○


主文
1 Y1は,Xに対し,金5855万4231円及び内金4990万2765円に対する平成21年7月9日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員(ただし,上記内金のうち541万円の限度で被告東京海上と連帯して)を支払え。
2 被告東京海上は,Xに対し,前項の内金4990万2765万円の内金541万円をY1と連帯して支払え。
3 Xのその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用はこれを9分し,その1をXの,その1を被告らの,その7をY1の負担とする。
5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

1 Y1は,Xに対し,金6729万7632円及び内金5696万2474円に対する平成21年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告東京海上は,Xに対し,前項の内金5696万2474円の内金541万円をY1と連帯して支払え。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
4 仮執行宣言

第2 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は,X運転の車両にY1が衝突する交通事故が発生したことから,Xが被告らに対し,その損害の賠償を求める事案である。

2 前提事実等
 当事者間に争いがない事実のほか,証拠(事実ごとに後掲)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)Xは,普通乗用自動車(以下「X車両」という。)を運転して,平成16年10月2日午後8時20分ころ,宮城県○×町△△番地付近T字路交差点を,前方の青色信号にしたがって右折するために交差点内に進入したところ,進路右側からY1の運転する普通乗用自動車(以下「Y1車両」という。)が赤信号を無視して交差点に進入したため,X運転車両の右前部側面にY1車両前部が衝突する事故が発生した(以下「本件事故」という。)。(争いなし)

(2)Xは,本件事故により,救急車で○△病院に搬送され,処置を受けた。その際治療にあたった同病院医師らより,強く入院を勧められたが,Xは,債権者への支払を滞らせたくなかったこと,仕事上の施主や元請業者との業務上の打合せ等がなしえなくなること等からこれを拒否し,息子を迎えに来させて同医師に無断で帰宅した。(甲19)
 その後,Xは,自宅近くの□△整形外科に,平成16年10月4日から平成17年4月4日までの間,合計129日間通院したほか,□○病院には平成16年12月6日と同月15日の2日通院し,また×○病院(眼科)には平成16年10月26日から平成17年4月1日までの間,合計12日間通院した。(争いなし)

(3)Xは,上記(2)記載の各医療機関においてそれぞれ治療を受けた上,後遺症に関しては,まず右眼につき,×○病院において,傷病名として右外傷性視神経損傷,後遺症として右視力低下(0.05)及び視野狭窄が認められるとの診断を受けた。(甲8の1ないし4,9)
 また,□△整形外科においては,傷病名として外傷右肩関節周囲炎,後遺障害の内容として右肩関節の拘縮が残存との診断を受けた。(甲7)
 これを受けて,Xは,被告東京海上に対し,自賠責保険後道障害等級認定申請をしたところ,被告東京海上は,右肩関節重苦感については「局部に神経症状を残すもの」として後遣障害等級14級9号に該当するとしたが,右肩関節の機能障害については,同部に骨折・脱臼や雌板損傷等の可動域制限の原因となる器質的損傷は認められないとして非該当と判断し,また右眼の障害については,「検査記録」において対光反応,前眼部・中間透光体・眼底,中心フリッカー値が正常とされており,視路,視中枢の障害も所見されていないことから,本件外傷と視力障害および視野障害との相当因果関係に乏しいとして,非該当と判断した。(争いなし)

第3 争点
1 Xの右眼の障害(視力低下,視野狭窄)の有無
2 Xの右眼の障害と本件事故との相当因果関係の有無
3 Xの右肩関節の機能障害の有無
4 損害額
5 素因減額の可否及び割合