○東京海上日動火災発売「TAP総合自動車保険」約款の第2章人身傷害補償条項第2条被保険者の条項は以下の通りになっています。
第2条(被保険者)
1.この人身傷害補償条項において被保険者とは、次の各号にいずれかに該当する者をいいます。
(1)賠償責任条項第3条(被保険者−対人・対物賠償共通)第1項第1号に規定する記名被保険者(以下「記名被保険者」といいます。)
(2)記名被保険者の配偶者
(3)記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
(4)記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
(5)前各号以外の者で、被保険自動車の正規の乗車装置まはた当該装置のある室内(隔壁等により通行できないように仕切られている場所を除きます。)に搭乗中の者。ただし、極めて異常かつ危険な方法で搭乗中の者を除きます。
2.前項の規定にかかわらず、自動車修理業、駐車場業、給油業、洗車業、自動車販売業、陸送業等自動車を取り扱うことを業としている者(これらの者の使用人、およびこれらの者が法人である場合はその理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関を含みます。)が自動車を業務として受託している場合は、これらの者は被保険者に含みません。
○この被保険者とは、交通事故被害者で損害を受け、この損害について人身傷害補償条項に基づいて
自分がかけた保険会社に請求出来る者を言いますが、この自分がかけた保険会社に請求出来る特約には、従前から無保険車傷害特約もあり、この特約での被保険者の条項は一般には以下の通りです。
第2条(被保険者)
この無保険車傷害条項において被保険者とは,次の各号のいずれかに該当する者をいいます。
(1)賠償責任条項第3条く被保険者一対人.対物賠償共通)第1項第1号に規定する記名被保険者(以下この条において,「記名被保険者」といいます。)
(2)記名被保険者の配偶者
(3)記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
(4)記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
(5)前各号以外の者で,保険証券記載の自動車(以下「被保険自動車」といいます。)の正規の乗車装置または当該装置のある室内(隔壁等により通行できないように仕切られている場所を除きます。)に搭乗中の者。ただし,極めて異常かつ危険な方法で搭乗中の者を除きます。
○くどくどと被保険者たる要件を繰り返し記載したのは、訳があります。
被保険者の父又は母が交通事故に遭って死亡し或いは重度後遺障害を残した場合で、相手方に任意保険がついていなかったときは、被害者側でかけている任意保険の特約、先ず、無保険車傷害特約があります。特に高齢者の場合自賠責保険は死亡でも2000万円以下の例が多く、裁判基準損害金には遠く及ばないことが殆どです。被害者側の任意保険に無保険車傷害特約があれば、裁判基準での損害賠償金支払を被害者側の保険会社に請求できます。そこで数年前に出稼ぎ中の高齢の父が仕事先で無保険車に轢かれて死亡した事案で、無保険車傷害特約で息子の保険会社に請求したところ、「同居の親族」に限るとしてはねられ、悔しい思いをしました。父は出稼ぎで住民票も移していたため同居とは到底認められなかったからです。
○次に高齢の実母が交通事故で重度障害者になりましたが、実母の過失割合が50%以上あり、加害者側任意保険会社から十分な賠償金が得られず、過失減額された分を人身傷害補償特約で息子の任意保険会社に請求しようとしたら、実母は施設で生活し同居していなかったため被保険者要件「同居の親族」に該当しないから息子の人身傷害特約は使えないはずと指摘されて、これまた悔しい思いをしたことがあります。
注;その後、約款を詳しく吟味した結果、この指摘は問題があるのではとも考えております。詳しくは「人身傷害補償(担保)特約の被保険者(請求権者)条項2」をご覧下さい。いずれにしても自動車保険契約約款はじっくり読んでも判りづらい面があり、今後も勉強を継続します。
○そこでこの父又は母の場合、「同居の親族」の要件をクリアする方法はないものかと、私が加入している三井住友海上火災の約款を眺めていたら,何と、以下の条項でした。
第2条(被保険者および保険金請求権者)
(中略)
Bこの人身傷害条項において、保険金請求権者とは、人身傷害事故によって損害を被った次の各号のいずれかに該当する者をいいます。
(1)被保険者
(2)被保険者の父母、配偶者または子
この条項を見て驚喜しました。父母について「同居」要件が外れていたからです。近時の約款はこのように改訂されているのかと思ってネットで色々保険会社の人身傷害条項を見てみたら、どうやら、従前通り「同居」要件が入っている方が多いようです。私は、三井住友海上火災とは、保険契約を締結している以外何の関係もありません。たまたまお世話になっている方が代理店をしているため自動車保険を同社にしていますが、同社自動車保険は、被害者保護に厚い保険と評価して良いでしょう。
ちなみに無保険者傷害条項においても、三井住友海上火災の約款では、第2条(被保険者および保険金請求権者)として、
(1)被保険者
(2)被保険者の父母、配偶者または子
となっていました。素晴らしい!!
注;その後、約款を良く見ると、被保険者と保険金請求者が分けて記載されており、被保険者の父母、配偶者または子とは、保険金請求権者であり、被保険者とは記載されていないので、被害者保護に厚いかどうかは疑問になりました。