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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

始めに

交通事故訴状作成要領1

○当事務所の交通事故訴状作成要領を以下の通り整理します。青色部分が書式です。※部分はコメントで書式には含まれません。

□当事者の表示
被告は原則として、任意保険会社とする。
自賠責保険金支払限度額の金員を受領していない場合は、限度額に不足する金員の支払は、自賠責保険会社に対して行う。

□請求金額についての注意
1.原告が直接受領する内金支払が全く無い場合
計算損害額をそのまま元本として請求し、損害金は交通事故当日から支払済みまで年5%の割合とする。
自賠責保険会社に対する請求は、通常、自賠責保険金限度額を請求しますので、遅延損害金は請求しません。
書式例は,以下の通りです。
□請求の趣旨
(※任意保険会社のみ被告とする場合)
1 被告は原告に対し、原告が訴外A(被保険者・加害者)に対する損害賠償請求権を行使しないことを訴外Aに対し書面で承諾することを条件に、金万円及びこれに対する平成年月日(※交通事故当日)から支払済みまで年5分による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言

(※任意保険会社と自賠責保険会社を共同被告にする場合)
1 被告○○保険株式会社は原告に対し、原告が訴外A(被保険者・加害者)に対する損害賠償請求権を行使しないことを訴外Aに対し書面で承諾することを条件に、金万円及びこれに対する平成年月日(※交通事故当日)から支払済みまで年5分による金員を支払え。
2 被告△△保険株式会社は原告に対し、前項の金万円の内金万円を被告○○保険株式会社と連帯して支払え。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
4 仮執行宣言


2.原告が直接受領する内金支払があった場合
 原則として、内金支払金は、先ず損害金に充当し、剰余があれば元金に充当し、最後の内金支払日の残元本を確定し、最後の内金支払日までの確定損害金を加えた金額とその内金としての元本金額について最後の内金支払日の翌日から支払済みまで年5%の割合による損害金を請求する。

(※請求の趣旨記載例)
請求の趣旨
1 被告○○保険株式会社は原告に対し、原告が訴外A(被保険者・加害者)に対する損害賠償請求権を行使しないことを訴外Aに対し書面で承諾することを条件に、金万円(※元本+確定損害金)及び内金万円(※元本額)これに対する平成年月日(※最後の支払日の翌日)から支払済みまで年5分による金員を支払え。
2 被告△△保険株式会社は原告に対し、前項の金万円の内金万円を被告○○保険株式会社と連帯して支払え。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
4 仮執行宣言

□請求の原因
1 事故の発生

 原告は、次の交通事故により、負傷した(甲1事故証明書)。
(1)発生日時  平成年月日午前後時分ころ
(2)発生場所  県郡市町丁目番地 道
(3)加害車両  普通乗用自動車(登録番号)
(4)上記運転者 訴外○(以下、訴外○と言う)
(5)被害者or車両  原告or普通乗用自動車(登録番号)
(6)上記運転者 原告
(7)事故の態様
 原告は、被害車両を運転して○○方面に向かって進行していたところ、突然、加害者運転車両が○して、○衝突した。

2 訴外○の責任
 訴外○は、平成年月日午前時分ころ、業務として加害車両を運転していたが、
‥‥すべき注意義務があるところこれを怠り、
‥‥することなく、○して被害車両に○衝突させた重大な過失があるので、自賠法3条及び民法709条により原告に生じた損害を賠償すべき責任がある(甲2刑事記録判決書)。
 尚、過失割合については争いがないor被告は原告も○%の過失があると主張するが原告の過失はない。

3 被告○○保険株式会社の責任(任意保険責任)
(1)自動車総合保険契約の成立

 被告は、遅くても平成年月日までに、保険者被告、被保険者訴外○、保険期間を保険契約締結日から1年間とし、加害車の所有、使用又は管理に起因して他人の生命又は身体を害すること(以下、対人事故という)により、訴外○が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して保険金を支払う旨の対人賠償責任条項を含む自動車総合保険契約を自動車総合保険普通保険約款(以下、約款という)により締結した。

(2)原告の被告に対する直接請求約款
 上記約款には、以下の条項がある。
@対人事故によって訴外○の負担する法律上の賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者たる原告らは、被告が訴外○に対して支払責任を負う限度において、被告に対し訴外○が原告らに対して負担する法律上の損害賠償責任の額から自賠責保険等によって支払われる金額を差し引いた額を請求することが出来ること、
A原告ら損害賠償請求権者が訴外佐藤に対する損害賠償請求権を行使しないことを訴外○に対し書面で承諾した場合は、被告が@の金額を原告らに対して直接支払うこと

(3)訴外○への損害賠償請求権不行使承諾
 原告は本訴状を持って上記Aの約款による訴外○に対する損害賠償請求権を行使しないことを承諾する。但し、訴外○と被告の自動車総合保険契約について保険契約者或いは被保険者の故意によって発生した事故等の理由で保険金支払義務を免れ、被害者の保険会社に対する直接請求権が発生しない場合に該当しないことを条件とする。

※請求の趣旨に「原告が訴外A(被保険者・加害者)に対する損害賠償請求権を行使しないことを訴外Aに対し書面で承諾することを条件に」と入れることにより、この(3)訴外○への損害賠償請求権不行使承諾は不要になりますので,削除します。


(4)被告の支払義務
 したがって、被告は、原告らに対して、直接、訴外○が負担する次項以下の損害賠償金支払義務を負う。

(※自賠責保険会社に請求する場合)
5 被告△△保険株式会社の責任(自賠責保険責任)

 訴外○は、被告△△との間で、本件加害車両について遅くても平成年月日以前に自動車損害賠償責任保険契約を締結していた。
 よって被告△△は原告に対し、自動車損害賠償保障法第16条に基づき同法所定の自賠責保険金額限度内において、本件事故によって生じた人身損害についての賠償義務を負う。
 上記の通り本件事故により原告は少なくとも後遺障害第○級相当の後遺障害を残したので後遺障害保険金は金○万円であり、被告△△は原告に対し金○万円の自賠責保険金支払義務を負う。


<コメント>
甲号証順番は、原則として請求原因記載順番に従う。

1.事故の存在・態様等の立証
@事故証明書、A当事者等作成事故状況説明書、B刑事記録、C現場の見分状況書(不起訴の場合これのみ)
甲1事故証明書、甲2刑事事件判決書等甲号証の表題を記載する。

2.加害者側と保険会社の保険契約
原則として立証資料は不要。通常は、人身事故損害賠償金のご案内等で保険契約の存在は立証できる。
加害者側保険会社作成「人身事故損害賠償金のご案内」等示談提案書面がない場合、電話等で連絡して加害者側の示談代行保険会社であることの確認書面を取り寄せる。何ら確認書面がない場合は訴え提起は出来ない。