○平成18年10月5日更新情報「
婚約中の女性を口説いて婚約破棄させた場合の責任」では婚約中のE女が妻子あるBと関係を持って婚約者Dとの婚約が解消に至った場合のBの責任についての考え方を説明しました。
○婚約とは将来婚姻をしようとする当事者の合意で一種の契約の成立です。これによって婚約当事者は互いに誠意をもつて交際し、婚姻を成立させるよう努力すべき義務が生じます。この婚姻を成立させるよう努力すべき義務が生じることが却って重荷に感じて、憂鬱な状態になることがよくあり、これは
マリッジブルーと呼ばれています。
○この
マリッジブルーは特に女性の方に顕著に表れることが多いようです。近時、女性の社会進出度が高くなりつつありますが、まだまだ男性と対等には至らず、結局、経済面で男性に頼らざるを得ない場合が多く、結局、結婚にかけるリスクは女性の方がずっと高い状況です。
○特に結婚によって退職して専業主婦となる場合、今後の人生はその男性にかけることになり、結婚によるリスクは極めて大きいものになります。この結婚にかけるリスクの大きい女性が、婚約した場合、本当にこれで良かったのだろうか、他にもっと良い条件の−リスクの少ない−男性がいるのではないか或いは別れた前の彼氏の方がリスクが少なかったのではないかなどと迷い
マリッジブルーに至るのではと推測しています。
○婚約した相手方の気持が自分から離れ始めたときの対処法が問題になります。特にE女の様に他の男性に心が向かったときは、大抵の男性は、婚約したのに誠意がなく、けしからんと怒って、そのような態度になった女性をなじり、叱りつけ、時に損害賠償請求をちらつかせるなど脅迫まがいの言動を取る男性も多いと思われます。
○しかし人間の好き、嫌いという感情は、あくまで自発的に生じるものであり、決して義務感では生じません。婚約したから誠意を持って婚姻を成立させる義務がある、従って好きになる義務があるので、好きになろうなんて考える人間は先ず居ません。
○相手の気持ちが離れ始めたとき怒りの感情をぶつけたら離れた気持を益々堅固なものにさせるだけで離れた気持を取り戻す効果は先ずないと考えた方がよいでしょう。気持が離れ始めた相手とはこれを機会に完全に別れてしまおうと思う場合は別ですが、相手の気持を取り戻したいと思うなら、ただただ相手の感情に訴えるしかありません。
○その感情に訴える方法は極めて難しいものです。相手の気持を自発的に自分に戻すには、怒りや道理の説明は論外で、相手に圧力と感じさせない心からの悲しみを訴えた方が効果的と思いますが、その具体的方法はケースバイケースでご本人が真剣に考えるしかありません。