相続問題での弁護士業務と信託銀行業務
○弁護士業務は,一般的にはいったん発生した紛争について、その解決のためのサービスを提供することです。示談交渉、調停、訴訟を提起するための代理人となることがその典型です。しかし紛争の発生を未然に防止するためのサービス提供業務は、より重要なはずですが、この紛争発生未然防止業務は、特に地方で開業している多くの弁護士にとってその割合は小さいと思われます。
○というのは弁護士ユーザーの方の多くは、実際に紛争が発生して初めて弁護士事務所を訪れるからで、紛争発生未然防止のために弁護士を使うとの発想は、企業には当然ありますが、一般個人の方の中にはまだ少ないからです。その一般個人の方の紛争発生未然防止業務の重要な一つとして、遺言書作成業務がありますが、この業務には信託銀行が相当程度入っており、弁護士業界の強力な競争相手になっています。
○日弁連は、「良い遺言」との語呂合わせで毎年4月15日を遺言の日と定めて遺言作債業務キャンペーンを行っていますが、銀行側ではりそな銀行が定めた「いい遺言」の語呂合わせでの11月15日を遺言の日として、遺言書作成業務キャンペーンを行っています。これは、日弁連と銀行側の遺言作成業務獲得競争と言えます。
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