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小松亀一法律事務所は、「相続家族」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

遺留分

遺贈・遺留分・寄与分の関係−じゃんけんぽん

○前3日間の更新情報で遺贈は遺留分に負けるも、寄与分には勝ち、寄与分は遺贈に負けるも遺留分には勝つことを述べました。たとえると遺留分・遺贈・寄与分の関係はじゃんけんのグー・チョキ・パーに相当します。これはいわゆる「三すくみ」又は「三つどもえ」の関係と言われています。

○まとめると次の通りです。
@904条の2第3項から寄与分は被相続人が相続開始時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることが出来ませんので、遺贈された財産に寄与分は認められず、全財産が遺贈されると寄与分が成立する余地が無くなります。いわば遺贈によって寄与分を消滅させることが出来、遺贈は寄与分に優先します

A寄与分に関する904条の2の規定は遺留分には準用されず(1044条)、寄与分によって遺留分が確保されなくてもその差額は取り戻せず、又寄与分は相続人の意思に基づき認められるものではなく、一定の要件で法が認めるものであるから、遺留分が作用する余地はなく、遺留分を侵害する寄与分も認められ、寄与分は遺留分に優先します

B964条により遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することが出来ますが、遺留分に関する規定に違反することが出来ません。これは法律専門家でない方にも広く知れ渡った規定ですが、遺言で財産を処分することを遺贈と言い、遺留分は遺贈に優先します

○これら遺贈・遺留分・寄与分の「三すくみ」又は「三つどもえ」の関係は相続の具体的場面で不合理な結論或いは解釈が極めて難しい問題を生じます。

○昨日紹介した、「父Aと母Bが一緒に商売を継続して1億円の財産をA名義で形成してきたが、Aは名前だけで殆ど働かず、実質はBの経営であり、Aの財産形成にBの寄与分が5分の4が認められるところ、Aは晩年愛人Eを作り、その間に生まれたFに全財産を遺贈する遺言を残した場合、Bは寄与分相当額8000万円をFから取り戻せないかと言う問題」等はその典型です(この話題後日に続けます)。