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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

任意保険全般

無保険車・人身傷害保険に関する平成20年12月2日名古屋地裁判決紹介1

○最近は、人身傷害保険についての話題が花盛りですが、意外に盲点なのが、無保険傷害保険です。無保険車傷害保険とは、無保険車による人身事故で死亡・後遺障害を負われた場合に補償するものです。自動付帯の無保険車傷害危険担保特約により、相手が無保険車で、相手から補償されるべき賠償金額が人身傷害補償保険金額を上回る場合に、保険金額を限度に補償します。重要なことは、無保険車傷害危険担保特約の保険金額は対人賠償保険の保険金額と同額と言う点です。

○人身傷害保険金は、支払基準が明確に定められており、この基準による金額しか請求できません。裁判基準の60%程度が目安です。これに対し、無保険傷害保険は対人賠償保険と同額ですから、裁判基準での請求が出来ます。無保険自動車とは、相手自動車にかけられた対人賠償保険が免責条項抵触、運転者年齢条件違反等で免責され、対人賠償保険が有効に働かない場合も該当します。

○無保険車傷害保険金請求事件の典型例として平成20年12月2日名古屋地裁判決(自動車保険ジャーナル・第1782号)を紹介します。判決要旨は、
①原告側契約の保険会社が負担する無保険車傷害保険金における遅延損害金は、後遺障害等級の判明だけでなく、「内容を具体的に明らかにして請求する必要」があるとし、その30日経過の翌日から起算するとし
②無保険車傷害保険金の遅延損害利率は、「商人たる保険会社との間に結ばれた保険契約に基づく債務」として、商法514条により「年6分」と認定し
③28歳女子が乗用車運転中、信号無視の任意無保険乗用車に衝突され、四肢麻痺、排泄障害等1級1号後遺障害を残した事案につき、慰謝料を本人3200万円(傷害分含む)、介護に当たる両親各200万円、6歳の長女100万円の計3700万円認め、余命までの介護料を日額7000円で認めた

たものです。

○事案概要は、
・28歳女子、6歳児の母の原告は、平成16年7月3日午前3時05分ころ、愛知県春日井市内交差点を乗用車で直進中、信号無視の訴外人y運転の任意無保険乗用車に衝突され、339日入院して、四肢麻痺、排泄障害等1級1号後遺障害を残し、既払金4677万5384円を控除して、原告車両と保険契約する甲に1億7538万3856円、両親、長女は各440万円を求めて訴えを提起
・ 裁判所は、原告側が契約する保険会社が負担する無保険車傷害保険の遅延損害金は、後遺障害等級だけでなく、「保険金の内容を具体的に明らかにして請求する必要がある」とし、請求から「30日経過の翌日」が起算日と認定
・遅延損害金利率は、その保険金債務が「商人たる保険会社との間に結ばれた保険契約に基づく債務」であることから、商法514条により「年6分」と認定し、「事故当日からの遅延損害金は含まない」とし
・加害運転者への訴え提起のない本件は、原告の弁護士費用を「因果関係にある損害と認めることはできない」と否認
・任意無保険の信号無視乗用車に衝突され、四肢麻痺、排泄障害等1級1号後遺障害を残した原告の慰謝料を3200万円、介護する両親各200万円、長女100万円、計3700万円の慰謝料を認め
・原告は、将来も「職業介護人及び近親者による介護が必要で」、「費用としては日額7000円と認める」とし
・無保険車傷害条項が人身傷害条項を上回る場合として、「無保険車傷害条項による保険金支払が認められる」

と判決したものです。

○別コンテンツで無保険傷害保険金請求の範囲についての平成20年12月2日名古屋地裁判決理由全文を紹介します。この判決は、控訴・上告され、最終的には、平成24年4月27日最高裁判決(自動車保険ジャーナル・第1876号)となっており、別コンテンツで紹介します。