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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故関連傷病等

非器質性精神障害と交通事故−後遺障害の程度評価等

○財産法人日弁連交通事故相談センター交通事故相談ニュース24号に中村直裕弁護士まとめ「非器質性精神障害に関連する基礎知識と裁判例の概観」の後遺障害の程度評価等についての備忘録です。

非器質性精神障害の後遺障害等級認定基準は、基発第0808002号平成15年8月8日厚生労働省労働基準局長通達「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」より改訂されています。その内非器質性精神障害の部分は以下の通りです。

1 主な改正点
 従来の神経系統の機能又は精神の障害に関する認定基準については、昭和50年以降一部を除き改正されなかったことから、非器質性精神障害の後遺障害について外傷性神経症のみを想定していることや現在では脳損傷等の診断に不可欠となっているMRI、CT等の画像診断が検査方法として記載されていないこと等今日における医学的知見等の進展に適合しない部分も見られたところであり、さらには、労働能力の喪失の程度を医学的な総合判断に委ねる等明確さを欠く点もあったことから、今日における医学的知見を踏まえて認定基準の改正を行った。

(中略)

(2)非器質性精神障害の後遺障害の障害等級の認定
 脳の損傷によらない精神障害(非器質性精神障害)の認定基準については、外傷性神経症に係る認定基準のみ設けられていたところであるが、うつ病やPTSD等の精神障害の労災認定の増加傾向に鑑み、業務上の非器質性精神障害の後遺障害一般に関して適用する基準を設定した。
ア 非器質性精神障害の特質と障害認定
 非器質性精神障害は、その特質上業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、多くの場合完治するのが一般的であり、完治しない場合でも症状がかなり軽快するのが一般的である。
 また、重い症状を有している場合でも、非器質性精神障害の特質上、大幅に症状が改善する可能性が十分にあることから、通勤・勤務時間の遵守、対人関係・協調性等の能力に関する判断項目のうち複数の能力が失われている等重い症状を残している場合は原則として療養を継続することとしたこと。
イ 障害認定の基準
 「抑うつ状態」等の精神症状が認められるものについて、能力に関する判断項目の障害の程度に応じて原則として9級・12級・14級の3段階で障害等級を認定することとしたこと。

2 的確な認定基準の運用の前提となる症状把握

(中略)

(4) 非器質性精神障害
 主治医に対して様式3により障害の状態の詳細についての意見を求めること。

3  基本通達との関係
 基本通達は、障害等級認定の一般的な考え方を示したものであるので、基本通達のうち、「第1 障害等級認定に当たっての基本的事項」については、神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級の認定を行うに当たっても適用があること。


○以下、タイプ毎の後遺障害認定例です。
・非器質性精神障害に関連する裁判上の紛争類型
A 神経症状主体タイプ
頭痛・頚部痛等各種疼痛、しびれ、眩暈、視覚・聴覚障害等の愁訴があるが、身体的異常がなく神経症による症状と判断されるもの、むち打ち症による障害の多いタイプ−14級10号の他に7級4号の認定例あり

B 事故に関連するストレスによる精神症状発症タイプ(Cタイプを除く)
抑うつ状態、不安状態等非器質性精神障害に関連する精神症状が前面に出るタイプ−9級認定例がおおい。
うつ状態等から自殺に至った場合、自殺と事故との因果関係が争点になる。

C 精神症状発生原因をPTSD(心的外傷後ストレス障害)とするタイプ
本来Bタイプだが、非器質性精神障害に関連する精神症状の発症と事故との因果関係と言う形ではなく、PTSDの診断基準に該当するか否か、あるいはPTSDい該当するかどうかと言う形で争われるケースが多い−PTSDを否定し外傷性神経症として14級或いは非器質性精神障害として12級認定例が多い

D 身体機能に重大な障害が出ているタイプ
両下肢運動麻痺、半身麻痺、歩行困難などの重度の障害や視力・視野障害などが生じているものの器質的異常が発見出来ないタイプ−9級以上認定例では4〜8割の素因減額され、器質的機能障害と同様の等級認定したもの、頑固な神経症状として12級認定したもの、検査値から判定される等級より低い労働能力喪失を認定したものがある。

E 内因性の精神障害が発症・再発・増悪するタイプ
統合失調症(精神分裂病)など内因性の精神疾患が事故によって発症・再発・増悪したか否かが争われるタイプ−アルコール性精神病の助長後の意欲減退等につき80%の労働能力喪失を認め、事故の寄与度を20%として80%減額した例がある

F 器質的異常を確認出来ない高次脳機能障害主張のタイプ
器質的損傷が明確でなくても高次脳機能障害による精神障害を主張する類型−高次脳機能障害を否定して非器質性精神障害として9級あるいは12級相当としたものがある。