○平成18年9月12日初稿「
損害賠償は加害者本人より保険会社に絞って請求すべき」を記載し、その頃から、私は交通事故損害賠償請求事件で加害者側に任意保険(共済)がついている場合で訴え提起するときは、保険会社への直接請求とすることを原則にしています。原則にしているのは、お客様によってはあくまで加害者本人に請求することを希望される方も居ますのでの、保険会社直接請求のご納得・ご了解を頂いたお客様に限りの直接請求にしているからです。
○殆どのお客様は私の説明にご納得・ご了解され、交通事故損害賠償請求の訴え提起相手方は、平成18年後半以降は、殆どが保険会社だけに絞っております。お客様の中には、訴えまで出さずとも早期に示談交渉で解決することを希望される方もおり、全ての事件について訴えを提起するわけではありません。平均して10件の内3件が示談解決、7件が訴え提起となっています。後遺障害等級を争う場合は、自賠責保険への異議申立は先ず通りませんので、訴えを提起を原則とします。
○これまで30件以上保険会社への直接請求訴えを提起していますが、直接請求自体を最後まで争われた事件は僅かに1件だけで、その結果は「
保険会社(共済)への直接請求が激しく争われた例の初判決1」に紹介しました。当事務所では現在20数件の交通事故訴訟を扱っていますが、唯一加害者本人への請求事例があります。現在継続中でまだ詳しい内容はご紹介出来ませんが、平成16年の事故で平成17年春、このHPを見て先ず自賠責保険請求から依頼されました。
○後遺障害内容から最低9級間違いなしと思われる事案でしたが、何と、14級しか認められず、平成17年秋に後遺障害等級9級を前提とする訴えを加害者本人宛に提起しました。当時まだ保険会社への直接請求理論を構築していなかったからです。加害者本人相手と言っても、出てくる代理人は実質保険会社代理人で実質保険会社のためにのみ訴訟活動をします。この事案では平成21年秋に至りようやく被害者主張がほぼ全面的に認められる判決が出され、加害者名義で控訴され、現在まだ控訴審で継続中です。
○加害者ご本人は被害者の状況を大変気の毒がって、心から被害者にお詫びをして、毎年、盆暮れには届け物を送って誠意を示し続けています。被害者のお客様は、加害者に対しては何の怨みもない、保険に入って保険会社に請求出来る状況にしてくれただけで十分であると伝え、もう、盆暮れの付け届けも要らないので、兎に角、気にしないで欲しいと繰り返し伝えています。しかし、未だに裁判が終了しないで被害者が苦境にあることもあり、加害者ご本人は盆暮れには必ず心付けを送ってきます。
○私はこの事案を見て、交通事故紛争の実質当事者は保険会社であるのに、保険会社顧問弁護士が形式的に加害者代理人として実質保険会社のために活動する状況に義憤を感じました。加害者本人は被害者に対し大変心苦しく思い、速く適正な損害金を支払って解決して欲しいと念願していることは明らかなのに保険会社の利益のため−要するに支払保険金額を少なくするため、被害者主張を徹底して争っているからです。ここから加害者本人ではなく保険会社への直接請求の考え方がスタートしました。