平成22年交通法学会参加ー難聴者への配慮が欲しい
○平成22年5月21日東京入りし、翌22日新幹線で神戸に移り、午後から平成22年度(第41回)日本交通法学会に参加しました。お昼少し前に新神戸駅に着き、駅の直ぐ隣に位置するホテルにチェックインするも部屋に入ることが出来るのは午後1時30分頃とのことで昼食がてら新神戸駅周辺を散策しました。部屋に入ってくつろぎ、学会会場の兵庫県立大学神戸学園都市キャンパス三木記念講堂に到着したのは午後3時頃でした。
○日本交通法学会は、毎年5月に定期総会開催と同時に、午前は個別報告、午後は定期総会を20分程度で終わらせ、午後1時30分頃から午後5時頃までその年のテーマに沿ったシンポジウムを行います。平成22年度(第41回)のシンポジウムテーマは「人身損害賠償に関する諸問題」で、
1.運行供用者責任に関する現代的諸問題(潮見佳男京都大学教授)
2.損害概念についてー差額説についての再検討(田中敦大阪地裁判事)
3.損害賠償額の男女間格差について(岡本友子熊本大学教授)
で、いずれも交通事故訴訟実務では大変重要な問題ばかりでした。
○私が到着したときはシンポジウム最後の熊本大学院法曹養成研究科教授岡本友子氏による「損害賠償額の男女間格差について」の講演が始まったばかりのところでした。残念ながら岡本氏の講演は難聴の私には補聴器を通しても聴き取れません。この状況はいつものことで、最近10年程は大きな会場ではマイクで話して頂いても殆どは聞き取れない状況になっています。そのため例えば日弁連・東北弁連の研修等は余程興味があるテーマでない限り参加しなくなっています。
○2人いた司会者の1人は、明瞭な発音で且つ大きな声で話していたので、難聴の私にもだいたい聞き取ることが出来ました。その司会者は、岡本氏の話す声が小さく聞き取りづらいと思ったらしく、岡本氏のところに寄ってマイクを口元に近づけ、マイクをよく通して話すように指示されました。しかし当初マイクに近づけて話すも少し時間がたつとマイクが離れ、難聴の私にはその話が、殆ど聞き取れなくなります。
○この講演に限りませんが、聴衆の中には耳が遠くて大きな声で話さないとよく聞こえない人が居ると言うことに全く意識のない方が殆どです。私は難聴者として良く聞き取れない辛さを身に染みて感じていますので、私が何か話す機会を与えられると、兎に角、口元にマイクにしっかり寄せて大きな声で話すようにしています。お陰で声が大きすぎてうるさ過ぎるとの苦情を受けることが良くあります。
○普通に聞こえる健聴の方が、普通には聞こえない難聴者の苦しみを理解できないため、難聴者について配慮することが出来ないのはやむを得ない面もあります。しかし数年前、サンフランシスコの法廷での民事裁判風景で、当事者全員がマイクをしっかり口元につけて大きな声ではっきり話していたのを見ると社会への難聴者への配慮の訴えが日本では不足していると実感します。我々難聴者がもっと声を上げて難聴者への理解を求める訴えが必要があるのですが、謙虚で控えめで且つ小心者の私には、なかなか訴えることが出来ません(^^;)。
○このような状況でも交通法学会だけは参加する理由は、懇親会で交通事故訴訟実務の最高権威と畏敬するT弁護士に現在抱えている事件について色々ご質問をして有益なサジェスチョンを受けるためです。今回もこの面では成果があり、神戸まで来た元は十分に取りました(^^)。