○その疑問点の一つは、右図の胸腰部関節可動域の屈曲・伸展です。屈曲(前屈)の参考可動域が45度と記載されており、この45度に疑問を感じました。普通の人はもっと大きいはずと思ったのです。実際、お客様の1人で交通事故で腰部打撲傷害の後遺障害で、従前に比較してこの屈曲が半分以下になったという方の胸腰部関節可動域が、参考可動域を遙かに超える85度と計測されてきたことがありました。そこで私は、この参考可動域45度は誤りではないかと疑問を持ったのです。
○「関節可動域表示ならびに測定法」での体位説明図は右図の通りですが、角度計のあて方として、基本軸、移動軸の他に軸心が記載されています。労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1には軸心までの記載はありません。また胸腰部体幹計測注意点として、「測定は体幹側面で行う。体位は、腰掛け座位、立位または側臥位」までは同じですが、その後に「軸心は第5腰椎棘突起が判断としない場合はジャコビー線の中央にたてた垂線との交差点を用いてもよい」と更に詳しくなっています。ただ、「股関節の運動が入らないように。」との説明はありません。