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「被害者本人報告書作成チェックシート叩き台」は、交通事故一般の原告(普通は被害者)本人の報告書(陳述書)の叩き台でしたが、最近依頼が増えている追突事故による鞭打ち症案件での被害者本人報告書の叩き台チェックシートを紹介します。鞭打ち症案件では、被害者の頭部、頚部、肩部等上半身の痛み、痺れ、マヒ等の症状が大変厳しい状況にも拘わらず、X線写真、MRI写真等では器質的損傷が認められないとの理由で、後遺障害非該当をなる例が多数あります。
○自賠責保険実務では,兎に角、X線写真、MRI写真等で器質的損傷が確認されない限りは、換言すると身体構造上の異常が確認されない限り、被害者がどんなに厳しい痛み、痺れ等の苦しみを訴えても、後遺障害とは認定してくれません。裁判実務の現状も、残念ながらこの構造損傷モデルによる認定が多く、
「加茂淳整形外科医著作−生理機能のトラブル」で紹介した生理機能のトラブルとの考え方は採用されていません。
○このようなX線写真、MRI写真等で器質的損傷が確認されないケースについては、被害者である原告本人の医療記録を取り寄せ、その記録内容を詳細に主張して、その痛み等の訴えは、決して詐病ではないことを主張し、更に原告本人報告書で、厳しい症状を具体的に詳細に裁判官に訴えるしかなく、その報告書作成のためのチェックシート叩き台を紹介します。
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一 事故発生時の状況
□事故に至るまで−どのような経緯で事故に遭遇したか。
□事故の直前−自動車停止の理由、赤信号、渋滞、右折待ち等、ブレーキはかけていたか、
□事故の瞬間−運転者か、助手席、後部座席か、運転手の場合ハンドルをどのように握っていたか
追突の瞬間、身体はどのように動いたか。前に押し出され、次に後ろに仰け反り、再度前に押し出されるのが一般的鞭打ち状況
追突直後の身体の痛み、部位等
□事故現場見取り図等の添付
二 事故発生直後の状況
□自動車の停止状態−どのくらい押し出されたか、
□自動車の破損状況−車両後部バンパーの状況、写真はあるか、
□加害者の状態−救護活動をしたか。何か遣り取りがあったか。あればその内容。
□被害者は状態−後頭部、後頚部、肩部、胸部、腰部等の打撲は、また痛み等は
□救急車の有無−誰が要請したか。到着時間は。
□警察の出動−110番通報者は。到着時間は。実況見分状況は。立会出来たか。
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三 病院搬送
□病院搬送までの経緯
□病院での治療状況、検査内容
□病院での診断結果
□緊急手術等の有無
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四 治療経過
□入院した場合−通常鞭打ち程度では入院しないが、どのような理由で入院したか。
傷害程度等、自力でやれたこと、やれないこと等。食事・排泄は。
□付添看護−誰がどのように行ったか。その必要性。
□入院時の苦しみ等で特に訴えたいことは
□退院時−回復程度
※入院期間中の身体の状況・治療経過は出来る限り詳しく
□通院−頻度、通院での治療・投薬状況、通院手段・方法、通院費用
□各種症状の変遷−通院時の時間経過による症状の変遷を詳しく記載、別紙症状経過一覧を参考に文章化する。
□病院を替えた場合−どのような理由で病院を替えたのか、各病院毎の診断・治療内容・治療効果
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□症状固定診断−症状固定診断を受けた経緯、保険会社からの要請は、被害者本人として症状固定診断に納得出来たか
□後遺障害程度−後遺障害認定の有無に拘わらず、症状固定時以降の身体の不自由さの具体的状況
□頚部・肩部・腕部・手・腰部の機能−可動域、握力等の状況
□症状固定後の通院状況
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五 事故による仕事への影響等
□事故時の仕事と収入
□家庭での役割・仕事
□事故による休業期間−事故による傷害と休業の関係
□事故による仕事の減収状況
□仕事復帰時−元のように仕事が出来たか
□後遺障害の仕事への影響と減収状況
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六 加害者側保険会社との交渉経緯等
□加害者本人の見舞い等
□加害者本人の賠償程度
□保険会社担当員が最初に登場したとき−どのように説明してきたか
□保険会社からの賠償金内金支払−休業補償程度
□労災適用の有無と労災保険金支払
□その他事故を原因とする給付内容
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