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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

休業損害逸失利益

後遺障害逸失利益の中間利息控除基準時の問題点

○今日は交通事故後遺障害逸失利益請求の問題点として、中間利息控除基準時は症状固定時と解すべきか、事故時と解すべきかと言う極めて難しい問題について私の備忘録としてポイントを記載します。

○Aさんが30歳の平成8年6月1日に交通事故にあって重傷を負い10年間治療を続けて40歳の平成18年6月1日に症状固定と診断され、同年9月1日に後遺障害9級の認定を受けたとします。Aさんは大学卒で平成16年賃金センサス大卒平均額は657万4800円、後遺障害9級労働能力喪失率は35%、40歳就労可能年数27年のライプニッツ係数は14.643です。

○このAさんの逸失利益は657万4800円×0.35×14.643=約3370万円となります。
問題は不法行為の損害賠償請求権については損害が不法行為時に発生したものとして不法行為時から年5%の遅延損害金が付されるためこの考えをそのまま適用するとAさんは平成18年6月1日時点では年5%の10年間分50%の遅延損害金を付加して請求できることになり、約3370万円×1.5で約5055万円請求できることになります。この考えは中間利息控除基準時を症状固定時とするので症状固定時説と言います。

○Aさんの逸失利益はあくまで症状固定した平成18年6月1日以降に発生する損害です。然るに事故時平成8年6月1日まで遡った10年間の50%にもなる損害金を請求できるとするのは余りに公平を欠くのではないかという問題があります。

○そこでこの不公平を解消するため平成8年6月1日の事故時から遅延損害金が発生するのであれば、実際に損害が発生する平成18年6月1日までの10年間の中間利息を控除すべきであるという考えも登場しました。これは中間利息控除基準時を事故時とするので事故時説と言い、この考えのAさんの逸失利益は、657万4800円×0.35×(事故時30歳から37年ライプニッツ係数16.711−10年ライプニッツ係数7.722)=約2068万円となります。

○この約2068万円に平成18年6月1日までの10年間の損害金50%を加えたとしても3102万円にしかならず症状固定時説での損害3370万円に達しません。これはライプニッツが複利計算利息を控除しているのに対し10年間50%の損害金は単利計算のため生じる差額です。

○そこで事故時から症状固定時までの10年間は単利の新ホフマン係数で、症状固定時期以降の27年間はライプニッツ係数でそれぞれの中間利息控除を控除すべきと言う折衷説も現れました。しかし、その計算方法はややこしくて現時点では、正確なやり方を勉強中で、私なりに理解できた段階で記載します。