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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

示談代行制度

「もらい事故」アシスト発売と弁護士法

○昨日、平成17年8月1日より東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)から「自動車保険はいよいよ第3世代へ!第3世代自動車保険『トータルアシスト』新発売!」と言うキャッチフレーズで、新型自動車保険を発売になり、この保険の中で最大の目玉は、「もらい事故」アシストと説明しました。

○私は、基本的に弁護士法72条(以下72条と言います)による非弁提携一律禁止は弁護士業務拡大のための最大の障害と思っておりますが、この規定を前提にする限り、「もらい事故」アシストは相当疑問があります。

○先ず●事故対応に精通した代理店・扱い者や東京海上日動の専門スタッフがお客様のご要望により弁護士と共にお客様を力強くバックアップします。と言う点です。
東京海上日動の専門スタッフのみがバックアップすると標榜すれば、弁護士以外の者の有料法律相談を禁止する72条違反の疑いが生じます。バックアップには当然損害賠償法律相談を含むはずで弁護士費用特約保険料が相談料対価とも言えるからです。

○そこで「弁護士と共に」と記載されていますが、これが東京海上日動お抱え弁護士となれば、その弁護士の活動は、上記非弁活動を助長するものではないかとの疑いが生じます。

○次に●また、万が一弁護士に示談交渉をお願いしなければならなくなっても、弁護士費用は弁護士費用特約からお支払いできますから安心です。※自動車事故でケガをしたり、物を壊されたりしたとき、相手方との交渉や訴訟で必要となる弁護士費用等を300万円限度に補償します。と言う点です。

○契約者が被害者側になって加害者に訴えを提起するときは弁護士費用を300万円まで補償すると謳っていますが、契約者が弁護士を知らないときに東京海上日動が弁護士を紹介する場合、保険料の中に弁護士紹介手数料も含むとも見られ、この点も72条違反の疑いがあります。

○しかし私自身上記は大した問題ではないと思っており、むしろ以下の問題が重要です。
先ず加害者が東京海上日動の示談代行付保険に加入していた場合の処理をどうするのか問題です。この場合も東京海上日動が、被害者側をアシストするとすれば、東京海上日動は、実質的に加害者側被害者側双方代理行為を行う危険性があります。

最も大きな疑問は、東京海上日動が被害者側アシストとして損害賠償請求額のアドバイスをするとき、慰謝料等を損保基準、裁判基準の何れで説明するかと言うことです。
(この話題明日に続けます)