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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

不倫問題

不貞行為損害賠償請求-先進諸国法令ではむしろ例外的との解説発見2

○「不貞行為損害賠償請求-先進諸国法令ではむしろ例外的との解説発見」の続きです。
武知俊輔弁護士記述「不貞慰謝料請求と諸外国の状況」には「不貞行為があったときに、これを行った配偶者と相手方とが共同不法行為者として損害賠償責任を負うというのは我が国では確定的な判例ですが、諸外国の法令に照らすと、これはむしろ例外的です。 」と記述されていますが、フランス民法では、損害賠償に関する規定を置いていますとの説明は意外でした。

○フランスは恋愛大国で、大統領まで婚姻外の子供に関する質問に「それがどうした」と開き直る国で、不貞行為なんて概念自体がないのではと思っていたからです。スエーデン・ノルウェー・フィンランド等北欧諸国でも不貞行為第三者責任なんておそらく、それ、なに?と言う感覚ではないかと推測しています。

○ネットで不貞行為第三者責任についての諸外国の例を調べてみましたが、正確と思われる記事は見つかりません。「しらべぇ」と言うサイトの「日本の法律は特殊?欧米だと浮気相手への慰謝料請求はなし!?【法律コラム】」によると「不倫問題は日本に限らず、世界中にある問題なわけですが、浮気相手についての日本の考え方が欧米から見て特殊ということは、あまり知られていないのではないでしょうか。」と始まり、
アメリカの多くの州では、浮気相手に対する慰謝料請求が原則的に認められません。イギリスでも、浮気相手に対する慰謝料請求は1970年に廃止。
ドイツでも、慰謝料請求は旧西ドイツの時代から一貫して認められておらず、「失われた愛の慰謝料は存在せず」という格言まであるようです。
フランスでは慰謝料請求は認められていますが、金額が抑えられる傾向にあり、古い裁判例ではありますが、1フランという判決もあったようです。

と説明されています。

○「アメリカでは、浮気した配偶者本人に制裁的な高額の慰謝料を支払わせることもあるようです。」とも説明されていますが、「ニューヨーク州のN.Y.Civil Rights ACT80a全文紹介-和訳文例紹介3」で紹介したとおり、少なくともニューヨーク州では、当事者間でも不貞行為等に関する慰謝料請求は廃止されて、財産分与や子どもが居る場合の養育料の請求しか出来ず、これが著名な俳優等大金持ちの場合、大変な金額になると思われます。

○しかし、「興信所SOS」「アメリカでの離婚裁判では慰謝料が発生しないって本当? 」というページには、「実はアメリカの殆どの州では、浮気をした配偶者に対する慰謝料請求はできても、その浮気相手に対する慰謝料請求は認められて居ない。」と説明されていますが、更に「アメリカでは『浮気をしていた本人が一番悪いので、離婚になった全責任を負うべきである』という考えが一般的」で、「浮気によって離婚し、子育てが困難な状況となれば、その全額を浮気者の配偶者が支払う必要があるのです。その結果、一般サラリーマンの家庭が浮気によって離婚して養育費の発生を命じられた場合、月の養育費は母と子の両名が安定した生活を行えるだけの金額が必要となる」と説明しています。

「アメリカでの離婚裁判では慰謝料が発生しないって本当? 」によるとアメリカで不貞行為第三者への慰謝料請求が認められない理由として、「アメリカ人らが考える浮気とは『浮気をした時点ですでに夫婦関係は破たんしている』と考えられており、夫婦関係がすでに破綻しているのだから、浮気相手に慰謝料を請求するべきではないというのが一般論」と説明されています。ドイツの「失われた愛の慰謝料は存在せず」という格言同様説得力があると感じております。