○「
離婚後の子の福祉制度の基礎の基礎−児童扶養手当法と児童手当法」を続けます。
離婚後、子の親権者となり監護をしている父又は母が受給できる児童扶養手当(平成22年から父も受給資格者となり、父母子手当となっています)について良く聞かれるのが、所得制限です。
しかし、これも良く判っておらず、以下、ネット等で調べた備忘録です。
先ず条文ですが、条文だけでは、良く判りません。
児童扶養手当法第9条(支給の制限)
手当は、受給資格者(第4条第1項第1号ロ又はニに該当し、かつ、母がない児童、同項第2号ロ又はニに該当し、かつ、父がない児童その他政令で定める児童の養育者を除く。以下この項において同じ。)の前年の所得が、その者の所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)並びに当該受給資格者の扶養親族等でない児童で当該受給資格者が前年の12月31日において生計を維持したものの有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の8月から翌年の7月までは、政令の定めるところにより、その全部又は一部を支給しない。
2 受給資格者が母である場合であつてその監護する児童が父から当該児童の養育に必要な費用の支払を受けたとき、又は受給資格者が父である場合であつてその監護し、かつ、これと生計を同じくする児童が母から当該児童の養育に必要な費用の支払を受けたときは、政令で定めるところにより、受給資格者が当該費用の支払を受けたものとみなして、前項の所得の額を計算するものとする。
児童扶養手当法施行令第2条の4(法第9条から第10条までの政令で定める額等)
法第9条第1項に規定する政令で定める額は、同項に規定する扶養親族等及び児童がないときは、19万円とし、扶養親族等又は児童があるときは、当該扶養親族等又は児童の数に応じて、それぞれ次の表の下欄に定めるとおりとする。
(後略)
児童扶養手当法施行規則第3条の2(支給停止に関する届出)
受給者は、法第9条第1項、第10条又は第11条の規定により手当の全部又は一部の支給を受けないこととなる事由が生じたときは、14日以内に、児童扶養手当支給停止関係届(様式第5号の2)を手当の支給機関に提出しなければならない。この場合においては、第1条第8号に掲げる書類その他の当該事由を明らかにすることができる書類を添えなければならない。
(後略)
○関係条文を、法・政令・規則の順に挙げましたが、以上の通り、条文を読んでもなかなか中身は判りません。その具体的内容についてネットで色々調べてみると、厚労省HPの「
児童扶養手当制度が改正されます」に以下の通り詳しく解説されています。
(ア)所得制限限度額と手当額の見直し
現在の手当は、母と子ども1人の母子家庭を例にとると、収入が204万8000円未満の場合は、全部支給の4万2370円(月額)が支給されています。また、収入が204万8000円以上で300万円未満の場合は、一部支給額の2万8350円(月額)が支給されています。
今回の改正では、全部支給、一部支給、支給停止を決定する所得の限度額が変わるとともに、一部支給の額が所得に応じてきめ細かく設定されます。
まず、所得の限度額は、先ほどの母と子ども1人の母子世帯を例にとると、収入が130万円(「所得」で、57万円)未満の場合は、全部支給額が支給され、収入が130万円以上で365万円未満(「所得」で、57万円以上で230万円未満)の場合には、一部支給額が支給されます。
また、支給額(月額)は、全部支給はこれまでと同じ4万2370円ですが、一部支給は、所得に応じて、4万2360円から1万円までの10円きざみの額となります。(詳しくは「改正後の手当額」の算式をご覧下さい。)
なお、扶養親族等の数が異なるとこれらの限度額は変わります。さらに手当額も第2子については月額5000円、第3子以降については1人につき月額3000円が従来どおり加算されます。実際の適用は、収入から給与所得控除などを控除し、養育費の8割相当額を加えた額(児童扶養手当では、これを「所得」と言います。)と「平成14年度所得制限限度額」の表に記載されている限度額とを比較して、全部支給、一部支給、支給停止のいずれかに決まります。このため上記の収入130万円、365万円はあくまでも目安です。
○改正後の手当額として次のように解説されています。
全部支給は、月額4万2370円です。
一部支給は所得に応じて月額4万2360円から1万円まで10円きざみの額です。具体的には次の算式により計算します。
手当額 = 42,360円 ー (受給者の所得額※1 ー 所得制限限度額※2)× 0.0187052
└―――――――――――――――――――――――――┘
10円未満四捨五入
※1 収入から給与所得控除等の控除を行い、養育費の8割相当額を加算した額です。
※2 所得制限限度額は、上記の表に定めるとおり、扶養親族等の数に応じて額が変わります。
次の表は前述の算式を使って計算した扶養親族が1人の場合(母と子ども1人の世帯)の手当額の例です。
所得額(年額) 手当額(月額)
57万円 4万2360円
100万円 3万4320円
130万円 2万8710円
160万円 2万3090円
190万円 1万7480円
220万円 1万1870円
○児童扶養手当の所得制限について質問を受けたときは、上記表を見せ、年収365万円を超えたら全く貰えないと覚えておきます(^^;)。公務員や、名のある企業に勤務しているキャリアウーマンの場合は、年収365万円以上になっている例は多く、全く貰えない場合が多そうです。