家事事件手続法が成立により電話・テレビで離婚調停も可能
○平成23年5月19日配信ニュースに家事事件手続法成立がありました。以下、備忘録です。
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電話、テレビで離婚調停も=家事事件手続法が成立
時事通信 5月19日(木)13時21分配信
離婚や遺産相続をめぐる家庭裁判所での調停、審判を、電話やテレビ会議で可能にすることなどを定めた家事事件手続法が、19日午後の衆院本会議で全会一致で可決され、成立した。同法は4月27日に参院を通過していた。
電話やテレビ会議による調停、審判は、遠隔地に住む当事者が家裁まで出向く負担を軽減し、手続きを迅速化するのが狙い。離婚、相続のほか、親権、養育費、成年後見、失踪宣告などに関する事案が対象となる。同法制定に伴い、旧来の家事審判法は廃止される。
本会議では、手形決済などに関する不服申し立ての審理への電話・テレビ会議導入を定めた非訟事件手続法も併せて可決され、成立した。 最終更新:5月19日(木)13時21分
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○夫婦仲が破綻して別居状態となるも、一方が離婚を拒否している場合、まず離婚調停手続をとらなければなりませんが、これまでは離婚調停の管轄家庭裁判所は、相手方所在地でした。例えば東京で結婚生活をしていたところ、妻が実家のある仙台に戻って別居中に東京在住の夫相手の離婚調停は、東京家庭裁判所にだして、期日の度に東京に行かなければなりません。これが、いちいち東京家裁に行かなくても電話・テレビで開催できるなら大変便利になります。
○この電話・テレビによる調停期日の開催は、第54条(音声の送受信による通話の方法による手続)に規定する「家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法」と表現されています。この電話会議期日が認められると、管轄は、余り大きな問題にならなくなりますが、家事事件手続法第4条以下の管轄に関する規程によると、調停の管轄は、相手方の所在地との従前の規定はなくなり、どちらかの住所地を管轄する裁判所であり、且つ、速く申立をした裁判所が優先されるようにも読めます。電話会議が可能であれば、仙台の妻は東京家庭裁判所に申立をして、仙台の自宅に居ながら電話で調停に出席した方が楽そうです。
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家事事件手続法
平成23・5・25・法律 52号
第1章 通則
第1条(趣旨)
家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(中略)
第2章 管轄
第4条(管轄が住所地により定まる場合の管轄権を有する家庭裁判所)
家事事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
第5条(優先管轄)
この法律の他の規定により二以上の家庭裁判所が管轄権を有するときは、家事事件は、先に申立てを受け、又は職権で手続を開始した家庭裁判所が管轄する。
第6条(管轄裁判所の指定)
管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができないときは、その裁判所の直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。
2 裁判所の管轄区域が明確でないため管轄裁判所が定まらないときは、関係のある裁判所に共通する直近上級の裁判所は、申立てにより又は職権で、管轄裁判所を定める。
3 前2項の規定により管轄裁判所を定める裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第54条(音声の送受信による通話の方法による手続)
家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。
2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。