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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

男女付合・婚約・内縁

内縁関係の成否に関する参考判例−共同生活1

○男女の話を続けますが、婚約については、婚姻予約(婚約)成立要件について」、婚姻予約成立要件の誠心誠意の約束とは」等で説明していますので,今回は、内縁について考えます。
○内縁とは、一般に婚姻の意思を持って夫婦共同生活を営み、社会的にも夫婦と認められているにもかかわらず、婚姻の届出をしていないために法律上は夫婦として認められない事実上の夫婦関係と定義され、大まかに
@「婚姻の意思」、
A「社会的に夫婦と認められている」、
B「事実上の夫婦共同生活の存在」

が要件として必要です。

○先ず婚姻の意思とは、社会通念上の夫婦関係を営む意思を言いますが、婚姻届出意思までは必要ありません。この婚姻の意思は、夫婦共同生活の実態とその継続性、性的関係の継続性、妊娠の有無、家族や第3者への紹介、見合い・結納・挙式等婚姻儀礼の有無等を総合して判断されるもので,単に主観的内心の意思だけで判断されません。
 内縁の成否に関しては、岐阜家裁昭和57年9月14日審判が参考になります(家月36巻4号78頁)。ここでは、主観的婚姻意思より、事実上の夫婦共同生活関係の一定期間継続との客観的要件を重視して内縁成立を認めています。
申立人と相手方の同棲は、婚姻届のなされていないのはもとより、婚約、結納、結婚式、結婚披露などの対外的公示行為は全くなく、正に相手方の述べるとおりずるずるべつたりと性関係に入り同棲生活を続けて行つたものであつて、その間にはつきりした結婚の約束が交わされた形跡もなく、むしろ申立人側の入籍(婚姻届)要求は相手方より拒否ないし無視され続けていたものであり、しかも相手方は申立人との同棲中にも学院の女事務員など複数の女性と継続的な性関係を持つていたものであるから、申立人の婚姻意思はともあれ、相手方の婚姻意思には疑義がないではない。しかしながら、その同棲生活は少くとも7年近くの期間に及ぶものであつて、しかも相手方はその間申立人を○○店賃借の保証人としたり、○○店、○○店の売上金管理や銀行取引(この点に関し、取引銀行である○○○○信用組合○○支店側では、銀行取引は主に申立人がしたこと、貸付交渉にも申立人が顔を出したこと、貸付担保の預金の名義人は○○○○、○○○○、○○○○であること、申立人を相手方の妻と思い奥さんと呼んでいたが相手方より異議は出なかつたことを述べている)を申立人にさせたりしていたものであつて、申立人を単なる野合の相手として扱つていたのではなく、やはり事実上の妻として遇していたものと判断せざるをえない。したがつて両者の関係は事実上の婚姻関係即ち内縁と判断される。
○次に夫婦共同生活ですが、ある程度の期間が必要なところ、婚姻意思の発現程度との相関関係があり、挙式など婚姻儀礼があると1ヶ月に満たない同居でも内縁と認められます。千葉地裁佐倉支部昭和49年7月15日判決(交民7巻4号1026頁)では、昭和47年4月3日見合い、8月17日挙式、9月7日交通事故死した男性との夫婦共同生活について内縁の成立を認め女性に配偶者としての慰謝料請求権を認めています。