○平成18年8月29日午後1時から午後8時まで日弁連会館2階講堂クオレにおいて各種研修会が開催され、午後5時30分から7時までは、
厚生労働省年金局年金課課長補佐小野浩司氏による厚生年金分割の仕組みと関係法令についてと題する研修で、私はネット経由でのライブ中継を仙台弁護士会館で受講しました。
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厚生労働省年金局年金課は正に年金実務の本拠地であり課長補佐と言えば実務の中心に居る方と思えますが、115頁に及ぶレジュメと参考資料を準備されて要点を簡潔明瞭に講義して頂き、その概要を私の備忘録として以下にまとめます。
○先ず平成15年末現在の年金制度体系は以下の図面の通りです。
○上図のとおり年金制度は、以下の3階建ての体系となっており、離婚時年金分割の対象になるのは2階部分のみです。
【1階部分】 全国民に共通した「国民年金(基礎年金)」※ すべての国民が国民年金制度に加入
【2階部分】 国民年金の上乗せとして報酬比例の年金を支給する「被用者年金」(厚生年金、共済年金)
【3階部分】 「企業年金」(厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金、確定給付企業年金)
○基本的な仕組み
・婚姻期間中の厚生年金保険料納付記録(夫婦の合計)を離婚した場合に当事者間で分割が認められる。
・分割できるのは平成19年4月1日以降の離婚だが施行日以前の婚姻期間の厚生年金保険料納付記録も対象になる。
・離婚当事者の合意または裁判手続によって定められた按分割合について社会保険事務所に厚生年金分割請求を行う。
・按分割合は夫婦の合計保険料納付記録の上限50%、下限分割を受ける側の分割前の持分
○分割の効果
分割を受けた当事者は増えた保険料納付記録に応じた厚生年金を受給できる。
但し、受給するには65歳に達し且つ老齢基礎年金受給資格期間(25年以上)を満たしていることが必要。