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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故医学関連参考図書

加茂整形外科医師著作-患者本位姿勢に共感

○加茂淳整形外科医師著作「トリガーポイントブロックで腰痛は治る!ーどうしたら、この痛みが消えるのか?」を斜め読みですが、一通り読み終え、その患者本位の姿勢に感動しました。その姿勢は「第6章私の治療法−加茂式トリガーポイントブロック」の161頁「傾聴、共感、受容、支持、保証」と言う一節に端的に表れています。

○その一節で加茂医師は次のように記述しています。
・患者さんの言うことを良く聞く。その訴えに共感し、受容する。患者さんに支持を表明し何らかの保証をする−−。
・痛みは感覚的、情動的体験と定義されています。つまり他人の痛みは他人の体験なのですから、余人があれこれ言うことではありません。患者さんが痛いと言ったら、それが痛みなのです
・患者さんの訴えを良く聞いて、「なるほど、そうですか」と言うことから始めないと,痛みの治療は不可能です。


○平成21年1月現在、当事務所には、交通事故での傷害が元での厳しい「痛み」を訴える被害者の方が10数名、現に裁判中、或いは訴え提起準備中です。この交通事故被害者の方の多くは、事故当初より通院した整形外科医師が、サッパリ自分の言うことを聞いてくれない、自分の痛みを判ってくれないと訴えます。

○中には、私の整形外科医としての治療は完全に治癒した、後は貴方の心の問題なので、精神科に行って下さいと、まるでホントは痛くないのに痛い、痛いと大騒ぎしていると言わんばかりに、貴方の精神に問題があるとズバリ言われ,その上、「痛い,痛いって、大げさな、そんなに賠償金が欲しいのですか」と長く通った整形外科医に侮辱されて悔しくて仕方がないと涙を流さんばかりに訴える方も居ます。

○私の推測ですが,医師は交通事故による傷害を治癒するのが職務であり、医師本人としては適正で十分な治療をして治癒したと思っているのに、患者から「まだ痛みが取れない、痛い,痛い」と訴えられるのは、自分の仕事にケチをつけられていると憤慨し、自分が治癒してやったのに、まだ痛いと訴えるとけしからんとの思いを持つ医師が、特に整形外科医師には多いような気がします。

○このような医師は、レントゲン写真、MRI写真撮影の結果、身体構造上何ら異常がないとの結論を絶対視して、器質的・構造的異常や損傷の有無で形式的判断をしがちなのではと推測しています。これに対し加茂医師は、「筋骨系の痛みの本態は筋肉のスパムズ(けいれん)による痛みである」と断言されています。

○ところが日本の現代医学では筋肉は無視され、医学が筋肉を無視するため、その部分を代替治療家−整骨院等−穴埋めし、代替治療家の中には優れた理論家もいるのに、交通事故の損害賠償請求には医師の診断書が必要になり、やむなく病院を受診し、レントゲンやMRIを撮って見当違いな説明を受けたり、異常なしといわれているのがわが国の悲しい現状だとのことです。

○更に加茂医師は自賠責保険、労災認定でも筋肉に対する配慮が足りないように思うとされ、その原因は保険診療システム作りに影響力のある専門医に「筋肉」の視点がないからとされています。交通事故医療現場に加茂医師のように患者本位に考える医師が増えれば、自賠責保険認定医や保険会社の形式的判断に苦しんでいる交通事故被害者の多くが救われると思った次第です。