本文へスキップ

小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

自賠責保険の話

高齢者死亡事故の自賠責支払基準による保険金額例

○70歳を過ぎたご高齢の方の死亡交通事故の場合の逸失利益について検討するに当たり、先ず死亡事故の場合の自賠責保険金の支払基準は概要以下の通りです。
(1)葬儀費
原則として60万円。但し、立証資料により100万円までは増額可能。

(2)逸失利益
事故前1年間の収入額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表W)の年相当額のいずれか高い額を基準として本人の生活費割合を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表U−1)を乗じて算出する。
更に年金受給者は年金額を基準として本人の生活費割合を控除した額に死亡時年齢の平均余命時年数のライプニッツ係数から死亡時の年齢における就労可能年数ライプニッツ係数を差し引いた係数を乗じて得られた額とを合算します。

満77歳で交通事故により死亡した女性Aさんの場合の具体的計算例は以下の通りです。
@年齢別平均給与額月23万6600円×12ヶ月で年収は283万9200円
A年金年額は33万3700円
B77歳就労可能年数5年のライプニッツ係数は4.329
C77歳平均余命年数11年のライプニッツ係数8.306
計算例
@283万9200円×(1-0.5)×B4.329A33万3700円×(1-0.5)×(C8.306-B4.329)=約681万円
自己収入分逸失利益           年金分逸失利益
(1-0.5)は、本人生存の場合の生活費を5割として控除する計算式です。

(3)慰謝料
死亡者本人は350万円、遺族は、被害者の父母(養父母含む)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む)とし、その額は請求権者1人の場合550万円、2人の場合650万円、3人以上の場合は750万円

○Aさんに子供が3人居た場合、慰謝料は350万円+750万円で1100万円、逸失利益は681万円、葬儀費60万円でで合計1841万円がAさんの遺族に支払われる自賠責保険金になり、遺族がこの金額に不満で増額を請求しても自賠責保険会社が増額に応じることは先ずありません。

○遺族としては自賠責保険金に不満な分は加害者本人、任意保険がついている場合は実質的には任意保険会社に請求することになります。