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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

アンカップリング通信

(番外編)別れた子供との面会

以下、アンカップリング通信に掲載した私の、「別れた子供との関係に悩む父に対する参考意見」です。

このお父さんは、子供を引き取って別れた前妻が子供を十分に監護していないと感じ、そのことを前妻に意見して、前妻から猛烈な抗議を受け、又前妻は、子供に会わせてくれなくなり、どうすべきか悩んで、アンカップリング通信に投稿しました。以下は、その投稿に対する意見です。




大変辛辣で恐縮ですが、「どんなご意見でも結構です」とのことですので、以下のとおりご意見申し上げます。

>もうこれ以上元妻に子どものことについて干渉しない方がいいのでしょうか?

そのとおりもうこれ以上干渉すべきではないと思います。その理由は以下のとおりです。

1.元妻(以下母といいます)とあなた(以下父といいます)の子どもとの接触量、密度とも圧倒的に違います。母は四六時中子どもと接しています。幼児養育の手間暇は相当なものです。いつも良い顔ばかりして入られません。時に怒鳴りつけることも必要です。これが現実の生活です。

2.それに対し父はたまに面会するだけです。可愛くて仕方がないから会えばいつも良い顔をします。子どもは、会えば望むところに連れて行ってもらえ更に好きなおもちゃも買ってもらえることでしょう。しかし大変失礼ながら、母にとっては、子供と父親の面会は、辛辣に表現すれば「ままごと」であり、現実の生活ではありません。

3.子どもはたまに会う父の方が母よりずっとよく見えてきます。そのような子どもの心情を母は、敏感に感じ取ります。そのためまめに会ってくれる父の存在は母にとって却って疎ましいものになります。母が面会にこなくなったのはそのためだと思います。

4.母は、父に対し自分は現実の生活をしているのだ、父のように「ままごと」をしているのではないと憤りすら感じるようになってきたのでしょう。そのような母の気持ちの動揺を子どもは小さいながら敏感に感じ取り、母に気を遣うようになります。母も又子どもの気持ちの動揺を感じ取り、母子間が気まずくなり、母はそれを気に病んでいます。

5.母がたまりかねて「鬼のような剣幕で」「あんまり会わしたくないねん」と言ってきたこと、又、父の「幼い子どもも心に感じているんじゃないか」との無思慮・無遠慮な言葉に「発狂したように」激高したのは、正に自分が気にしている痛いところをズバリ突かれたからです。しかも気に病む原因を作っている張本人から言われたのだから尚更です。

6.人は一番痛いところを突かれたとき激高します。私には狂ったように激高した母の心情が痛いほど判ります。ハッキリ申し上げて父は母の心情について全く理解が足りません。父は、自分の立場でしかものを考えていません。母が「何を考え」「何を求めているか」について全く無頓着です。大変恐縮ですが、父母の離婚の原因が見えてくるような気もします。

7.母が現実に子どもとの共同生活を送っています。父として最大限の配慮を払わなければならないことは「現実に共同生活をしている母と子の安定した関係」です。ここは大変辛いことと思いますが、真に子の幸せを思うのであれば、母子の関係に余計な干渉をしないことです。

>子どものことは忘れた方がいいのでしょうか?。

本件での父の場合は、一時忘れた方が良いかも知れません。しかし、ずっと忘れていけません。人のあらゆる問題行動の根底には、「愛情飢餓症候群」が横たわっています。もう少し大きくなったらたまに手紙を書くなど、父はいつも子を思い続けているとの意思表示はすべきと思います。自分は父に愛されているという実感を何らかの形で与え続ける必要はあります。

>そんな子どもの叫びは無視してもいいのでしょうか?

無視してはいけませんが、本件において母の心情に理解の足りない父が、母に対し、父の感じる子どもの叫びを伝えることは事態を悪化させるだけで、何の解決にもなりません。父の感じる子どもの叫びとはあくまで父の感じであり、子どもの叫びを真に理解したものかどうかも判りません。何が真に子どものためになるかもっと深く考えるべきです。

>時が来れば解決してくれるのでしょうか。

それは言えます。離婚により父と離れて生活することになったことで、子どもに対し、不憫だ不憫だと必要以上に気を遣うことは却って子どものためになりません。子どもは子どもなりに自己の環境を理解し、順応して逞しく育つものだと思った方が父にとっても良いと思いますが。

ご参考にご教示申し上げますが、母が再婚すると、たとえ再婚した夫と、妻(母)の子どもが養子縁組しなくても、同居している限り子どもは夫の事実上の養子とみなされます。ですから夫は子どもの事実上の父として養育義務を負います。その結果、子どもの父は、第二次的養育義務者に後退し、夫(事実上の父)が養育能力がある限り、養育料を支払う必要が無くなります。

又父が再婚すると、新しい妻、子どもの扶養義務が生じるので、分かれた子どもに対する養育義務が軽減される場合もあります。

本件での父母はまだ30歳そこそこで若く、お互い今度こそ相性の良い伴侶を見つけた方が、子どもを含めてお互いのために良いと思います。
「ずっとそばにいれるように」枕元に子どもの写真を置くなど感傷に浸っているといつまでも再婚できず、却って子どものためにならないかも知れませんよ。

客観的に見て、今の父は離婚の痛手により、気持に余裕が無くなっています。父も早く再婚して幸せになって、余裕を持った元気な顔を子どもに見せた方が子どものためにもよいような気がします。

長々辛辣に批判され、お腹立ちのことと思います。実は私も10数年前、父と同じ境遇にあり、5年間ほどこの父と同様に悩みました。ですから父の心情も理解しているつもりです。

今は再婚して子どもも得て、充実した生活をしていますが、月に1度は遊びに来たり、電話したりしている別れた長女もこの春高校に合格したと元気に報告してきました。

(平成15年 6月11日記)