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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

面接交渉

民法第766条の平成23年6月改正備忘録2

○「民法第766条の平成23年6月改正備忘録」を続けます。
離婚の際の子の監護者の決定等に関する民法第766条が、平成23年の民法改正で、
 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議でこれを定める。とだけ規定されていたものが、

 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

と下線部分が追加されました。
いずれも、
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
との規定は、変わりません。

○この
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
との文言の追加は、離婚の際は、子と別れる配偶者と面会交流についてキチンと定めるべきことを促したものです。

○協議離婚の際の具体的手続についての規定は以下の通りです。
民法
第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

戸籍法
第76条 離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
1.親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
2.その他法務省令で定める事項

戸籍法施行規則
第57条 戸籍法第76条第2号の事項は、次に掲げるものとする。
1.協議上の離婚である旨
2.当事者が外国人であるときは、その国籍
3.当事者の父母の氏名及び父母との続柄並びに当事者が特別養子以外の養子であるときは、養規の氏名
4.同居を始めた年月
5.別居した年月
6.別居する前の住所
7.別居する前の世帯の主な仕事及び国勢調査実施年の4月1日から翌年3月31日までの届出については、当事者の職業
8.当事者の世帯主の氏名


○平成23年の民法第766条の改正により「離婚の際は、子と別れる配偶者と面会交流についてキチンと定めるべきことを促すべき」文言が追加されたものの、具体的協議婚手続に関する上記民法・戸籍法・戸籍法施行規則の各規定は、改正されず従前のままで、面会交流について離婚届出書に記載せずとも届出は出来ます。

○そのため、「民法第766条の平成23年6月改正備忘録」で紹介した読売新聞 9月10日(月)14時32分配信ニュースのとおり、「4月施行の改正民法で、子どものいる夫婦が離婚する際、養育費や親子の面会交流について取り決めるよう定められたのに、6月までの3か月間で取り決めたのは全体の半数に満たなかったことが、法務省の初の集計で分かった。取り決めがなくても離婚届は受理されるため、改正の実効性は当初から疑問視されていたが、当事者だけで調整する難しさが改めて浮き彫りになった。」との結果になりました。