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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

面接交渉

面接交渉の連絡が嫌なので養育料放棄は

○A女は、前夫BのDVが原因で当時2歳の子供Cを連れて別居し、離婚調停を申し立て、最終的に養育料3万円と決めて離婚しました。AはBから受けたDVによるトラウマでBの顔を見るのも嫌になっており、Cとの面接交渉は認めたくなかったのですが、養育料を受け取る関係もあり,嫌々ながらも2ヶ月に1回を目処に面接交渉を認めました。

○面接交渉の具体的な方法は、ABがメール等で連絡を取り合って行うと決め、当初2年間の間に5,6回面接交渉を実現しました。Bからの連絡をメールで受け、日時場所をAが指定し、Aの両親がCを連れて行って合わせており、A自身はBとは接触しないようにしていました。離婚後、2年間はキチンと養育料の支払がなされましたが、3年目から養育料支払が遅れがちとなりました。

○上記のようなケースは、世間には山のようにあり、当事務所で扱った事案でも相当数あり、支払が遅れた養育料については、Bが勤務を継続していればその勤務先の給料差押手続により回収出来ます。Bが勤務を辞めどこに居るかも判らない状況となった場合は給料差押手続は出来ず回収は事実上不可能になります。

○Bの勤務先が判り給料差押手続により回収出来るのに、Aが面接交渉でBから連絡を受けるのが嫌で嫌でたまらず、Bとの連絡を一切絶ちたいため養育料を放棄したいが許されるでしょうかとの相談がたまにあります。Bから面接交渉を約束通りしてくれないから養育料支払を見合わせている、今後も面接交渉を認めないなら養育料支払を完全に停止するとメールが来たので、これに応じたいと言います。

「養育料も一切請求しないので面接交渉も認めないと言う母」に記載したとおり、理屈から言えば、養育費は究極的には母の権利ではなく、子の父に対する扶養請求権であり、母が勝手に放棄することは出来ないのが原則ですが、AがBから受けたトラウマでBからの連絡により心身を害して仕事にも影響するようになる場合は、養育料を事実上放棄してBとの連絡を一切絶つのも一つの方法です。

○これに対しBが本当は面接交渉を心から求めており養育料支払停止を面接交渉実現の一手段として行った場合、Bが面接交渉実現の調停申立をしてくる可能性もありますと伝えます。実際、面接交渉実現調停申立の件数は多いからです。するとAはまたBとの調停で裁判所に行くなんて嫌なのでこれを避ける方法はないかとも質問してきます。

○私は
@基本的に養育料は子供Cが父Bに対して有する大変重要な権利であること
A父Bには面接交渉の権利が認められているおりその実現を求める調停を出す権利があること
B実際毎月3万円でも貴重なお金であり将来Cの学費等で必要になること
CBが面接交渉を実現するなら支払うと約束しているのに母Aが父Bと連絡を取りたくないという自分の都合でCの大事な権利を放棄するのは母の我が儘とも評価されること
D人生には時に実を取るためこだわりを捨てる発想の転換も必要なこと

等々をアドバイスしますが、AがBから受けたトラウマが強い場合、なかなか理解して頂けません。