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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

不倫問題

間男・間女?の責任を否定する判例概観

○配偶者A・Bの一方と性的関係を持ったCの責任について「間男・間女?の責任に関する最近の学説概観」で最近の学説でCの責任を否定する学説として@責任配偶者限定説、A男女関係自由市場説、B人格自由独立説等を紹介しました。尚、学説名は私の独断と偏見で勝手につけたもので不正確です。

○ところが判決例でもCの責任を否定するものが昭和40,50年代から既にありましたので、判決例でのCに対する責任を否定する理由を紹介します。
・鳥取地判昭和44年3月31日判タ235号240頁
CがAに対し、詐術、詭弁等その他不穏当な方法を用いて同人を誘惑したとみることは未だ困難であるのみならず、右関係についてはむしろAの方が積極的な態度でCに対し働きかけている。

・山形地判昭和45年1月29日判時599号76頁
CとAの肉体関係により、BとA間の夫婦若しくはその家族関係を危機に陥れ若しくはこれを破壊する如き格段の事情を生じていないことに加え、肉体関係の誘起および継続の過程における責任がその当事者にとり相等しい

・横浜地判昭和48年6月29日判タ299号336頁
CがBと情交関係を結んだ時期にはAとBの婚姻関係はすでに他の原因によって破綻していたものと推認できるので、AはBにおいて貞操を守るべく期待する夫としての権利をもはや失ったものと解するのが相当である。

・東京高判昭和50年12月22日判タ338号168頁
AとCとは、Aのさそいかけから自然の愛情によって情交関係が生じたものであり、Cが子供を産んだのは母親として当然のことであり、Aに妻子があることの一事でこれらのことを違法とあると見るのは相当でない。

・横浜地裁裁判日平成3年9月25日判時1414号95頁
夫の不貞の相手方に対する妻からの慰謝料請求につき、夫が慰謝料を支払つたことにより妻の損害が填補されたとして請求が棄却された

○最近、間男、間女?に該当する方からの相談を受けることが多く、また実際裁判を出されて被告となっている方の事件を何件も抱えていますが、上記判例は間男、間女?側擁護の理論付けとして利用することが出来ます。しかし、公刊された裁判例では、近年金額が減少傾向にあるとは言え、間男、間女?の責任をある程度認める判決例の方が多く、多くの裁判官も責任否定説採用には躊躇があるように感じます。
従って間男、間女の立場にになることは避けた方が無難なことは間違いありません。