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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

面接交渉

離婚後親権者母が子供との面会拒否した責任

○離婚関係で良くある相談の一つに、子供の親権者を母として母が子供を引き取って離婚した後に、子供と離れた父が親権者の母に対し子供とも面会を求めても拒否され続けているので何とか子供を会う方法はないでしょうかと言うものがあります。

○このような父は心から子供のみを案じる真面目な方が多くアドバイスに苦心しますが、私の基本方針は、子供の精神的安定を最大限尊重することに尽きます。父との面会を嫌がる母の意向に反して無理して子供に会うことが子供の精神的安定に良いか悪いか具体的事案毎に正にケースバイケースでアドバイスします。

○典型的なケースは、アンカップリング通信に記載した「(番外編)別れた子供との面会」です。離婚協議で毎月1回は子供との面接交渉を認めると言う合意をしたり、仮にそのような合意が無くても別れた父には原則として子供との面接交渉権を持っているので、これを拒否する母の態度は、違法と評価されます。しかし、面接交渉を無理矢理実現する方法はありません。

○ところが、面接交渉を拒否した母に対し精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求をする父もいます。例えば昭和63年10月21日東京地裁判決では、協議離婚の際父母間で合意した父と未成熟子との面接交渉が母によつて妨害されたとして、母は父子に対し各金46万5000円の慰謝料請求を認められました。
この事案では父子として母に各金475万円請求し、母は裁判所に出頭せず欠席判決として請求額の1割相当額が認められました。

○更に静岡地裁浜松支部平成11年12月21日判決では、面接交渉を拒否した母に対し父が500万円の慰謝料請求をして全額認められています。この事案で、母は父が婚姻中から自己本位でわがままあり、それを面接交渉を拒否する理由としてあげましたが、判決は逆に母の親離れしない幼稚な人格と子の監護養育を深く考えないわがままな態度があると認定され、慰謝料500万円の請求が全額認められました。

○この判決は控訴されましたが、控訴審の結果のデータは探せません。控訴審では和解が成立した可能性があります。この静岡地裁の例は、おそらく母の法廷での態度が悪く裁判官に相当悪印象を与えたようです。父と母は、離婚も裁判離婚であり、離婚後の慰謝料請求裁判においても凄まじいばかりにお互いに相手に対する恨み辛み、悪口雑言の応酬を繰り返しています。

○この父は子と一緒に生活する母から強制執行手続を取ってまで本気で500万円を回収するつもりだったのかどうかは不明ですが、それをやって何になるのだろうかと言うのが私の疑問です。それほどまでに幼稚な母であるなら子の監護能力無しとして親権者変更申立をすべきであったのではと思います。

○平成13年12月27日東京地裁判決では、離婚後父が3人の子との面接交渉権を侵害されたことを理由として母に対し300万円の慰謝料請求をしましたが、父の言動等に子らの福祉に反する事情があったとして請求が認められませんでした。