本文へスキップ

小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

養育費・認知

離婚後妻が再婚した場合の養育料支払義務

○久しぶりに男女・親子問題の話題です。
離婚の際子供を手放して養育料支払を義務づけられた父親から、「別れた妻が再婚した場合も養育料を支払い続けなければなりませんか」と良く相談時に質問されます。

○子供を引き取った母が再婚して、新しい父と子が同居している場合、養子縁組をした場合は勿論ですが、養子縁組はしなくても一緒に生活している以上事実上の養親となり、養親たる父が養子についての生活保持義務としての第一次的扶養義務を負い、実父は第二次的扶養義務者に後退し、原則として扶養義務から解放されます。
従って前記質問に対する答えは「別れた妻が再婚した場合、実父は養育料を支払わなくてもよい」となります。

○しかしこれはあくまで原則論です。養父が第一次養育義務者ですが、病気で収入がない等養育義務履行不能者の場合、第二次養育義務者の実父の養育料支払義務は継続します。ですから正確には「別れた妻が『普通に稼ぎのある』男と再婚した場合、実父は養育料を支払わなくてもよい」となりますが、以下に述べる理屈で更に条件が付きます。

○親の子に対する養育料支払義務は、扶養義務から発生しますが、扶養義務は、「生活保持義務」と「生活扶助義務」に大別され、生活保持義務」とは「自分の生活を保持するのと同程度の生活を被扶養者にも保持させる義務」「生活扶助義務」とは「自分の生活を犠牲にしない限度で、被扶養者の最低限の生活扶助を行う義務」とされています。

別れた実父は、母の元に居る子に対し、「生活保持義務」即ち「自分の生活を保持するのと同程度の生活を被扶養者にも保持させる義務」を負います。実父が月収300万円もあり、養育料も月額25万円と決めていた場合に妻が月収20万円の男性と再婚しても、養父たる男性の収入からすれば、実父の養育料支払義務は、精々2〜3万円程度減っても、無くなることはありません。

○従って、最終的には、「別れた妻が『実父と同程度に稼ぎのある』男と再婚した場合、実父は養育料を支払わなくてもよい」となるはずですが、どうも家庭裁判所は、妻が再婚したら、再婚した男性と別れた実父の収入比較には余り拘らずに、兎に角、再婚したら実父は養育義務が無くなるとの考えで運用されているフシも見えます。(この話題後日に続けます。)