本文へスキップ

小松亀一法律事務所は、「相続家族」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

相続概観

遺言

1 遺言とは
 法律上の遺言とは、ある人が自分の死亡後に自分の財産や身分関係などについて、所定の形式に従って作成する「書面」のことをいいます。
 テープへの録音、録画は法律上の遺言とは言えません。
 「遺言」をするとは、「遺言書を作る」ということです。
 満15才になれば誰でも遺言が書けます。
 日本では、遺言書を作る人は少数です。
 しかし、遺言書がないばかりに相続人間で紛争になっているケースが多々あります。遺言書作成が 当り前のようになされれば、相続人間の紛争も相当程度減ります。また遺言書は一度作成しても、いつでも取り消すことが出来(民1022)、取り消さないでも新たな遺言書を作れば、前の遺言は取り消され、後の遺言が有効になります(民1023)ので、是非遺言書の作成をお勧めします。

2 遺言で何が書けるのか
 何を書くことも自由ですが、法律的に有効なものは以下のとおりです。

@遺贈(民964)
 遺言によって財産を他人に与えることです。与えられる人を受遺者と呼びます。受遺者は相続人か どうかを問わず、又法人でかまいません。財産を特定した場合は特定遺贈、割合で示すときは 包括遺贈と呼びます。

A相続分の指定または委託(民902)
 各相続人につき、遺産配分の割合を指定するものです。

B分割方法の指定またはその委託(民908)
 配分の具体的方法、例えば甲土地はAに、乙土地はCにというように、特定の遺産を特定の相続人に与えることを指定するものです。

C5年以内の分割禁止(民908)

D相続人の廃除またはその取消(民893、849U)

E祭祀承継者の指定(民897T但書)

F遺言執行者に関する指定(民1006T)

Gその他

3 遺言の種類と方式は
@ 自筆証書遺言(民968)

 遺言は遺言書の全文、作成の日付、自分の氏名を自分自身で手書きし、押印するものです。 一部でも代筆させたり、ワープロ印刷した場合、全部無効になります。
 不動産登記事項については、裁判所の検認がないと遺言書だけでは登記できません。

A公正証書遺言(民989)
 証人2人以上に立会ってもらい、遺言者が公証人に遺言の内容を口述し、公証人がこれを筆記し、 遺言者、証人に読み聞かせて署名押印させ、以上の方式に従って作成した旨を公証人が 付記して署名押印するものです。
 公証人に自宅や病院に来てもらうこともできます。

B秘密証書遺言(民970)
 遺言者が内容を秘密にしておきたい場合の方法で、遺言者が遺言書を作り、公証人1人と 証人2人以上の面前に提出して、自己の遺言である旨申述し、公証人がその提出された日付と 遺言者の申述を封書に記載し、遺言者、証人とともにこれに署名押印するものです。

C特別法式遺言(民976〜984)
 @ないしBは普通の場合の遺言ですが、死期が迫ったり、船舶遭難の場合などに特別の方式の
遺言が認められています。

4 最も安全確実な遺言の方式は
 次の理由で公正証書遺言を一番お勧めします。
@遺言内容を公証人がチェックしますので、法律的に誤った遺言をすることが避けられます。
A遺言書の一通は公証人役場で保管しますので、隠匿、偽造のおそれはなく、管理が安全確実です。
B家庭裁判所の検認手続が不要です。
「検認」とは遺言書の現状を確認して、その偽造変造を防止するための手続で、遺言の有効無効とは 直接関係ありませんが、検認を経ていない自筆証書遺言書のみで不動産の相続による移転登記はできません。
公正証書遺言の場合は遺言書のみで出来ます。

5 検認とは
 遺言書を保管している人は遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後遅滞なく その遺言書を家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません(民1004)。
 遺言書を隠したり、破棄したりした相続人は相続人の資格を失います(民891・5項)。