本文へスキップ

小松亀一法律事務所は、「相続家族」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

寄与分

寄与分主張についての東京家庭裁判所家事第5部パンフレット紹介1

○東京家庭裁判所第5民事部では「寄与分の主張を検討する皆様へ」と題するパンフレットを作成し、寄与分主張をする当事者の配布しているとのことです。私が現在取り扱っている遺産分割事件では、相手方が寄与分の主張をしていますが、仙台家庭裁判所では、寄与分に関して、このような親切なパンフレットを配布しているとは聞いたことがありません。

○万が一、配布済みであるとすれば、お詫び申し上げますが、相手方は、以下の内容について、全く不備なまま寄与分の主張をしており、万一配布済みであったとしても、内容を良く読んでいないようです。「もう一度自分の主張内容を読み返してみて、ご主張の内容に無理がないかどうかをご確認下さい。」と伝えたいところです(^^;)。

取り敢えず、東京家庭裁判所第5民事部「寄与分の主張を検討する皆様へ」と題するパンフレット前文を以下に紹介します。

********************************************

寄与分の主張を検討する皆様へ
平成25年12月3日 東京家庭裁判所家事第5部


寄与分とは
 共同相続人中に、身分関係や親族関係から通常期待される以上に被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるとき、その寄与者の相続分に寄与分額を加算するものです。扶養義務の範囲内の貢献は寄与にあたりません。

 この特別の寄与を評価して算出した割合や金額のことを、寄与分と言います。
 寄与分が認められるということは、法定相続分や指定相続分を修正することになりますので、修正に足りる事情を、自らが立証することが必要です。

寄与分が認められるためには
①主張する寄与行為が相続開始前の行為であること

 被相続人が亡くなった後の行為、例えば、遺産不動産の維持管理・違算管理・法要の実施などは、寄与分の対象になりません。

②寄与分が認められるだけの要件を満たしていること
※要件とは、
「その寄与行為が被相続人にとって必要不可欠であったこと」、
特別な貢献であること」
「被相続人から対価を得ていないこと」
「寄与行為が一定の期間あること」
「片手間ではなくかなりの負担を要していること」
「寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加に因果関係があること」
などで、その要件の一つでも欠けると認めることが難しくなります。

③客観的な裏付け資料が提出されていること

 寄与分の主張をするには、誰が見ても、もっともだと分かる資料を提出する必要があります。主張の裏付けとなる資料のないまま主張すると、解決を長引かせてしまうだけです。

 以上の点を踏まえて、寄与分のご主張を予定されている方は、次回調停までにご自分の主張内容をご検討下さい。すでに寄与分の主張をまとめて裁判所に書面を提出されている方は、もう一度自分の主張内容を読み返してみて、ご主張の内容に無理がないかどうかをご確認下さい。