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小松亀一法律事務所は、「相続家族」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

遺言書

私が原則として遺言執行者にならない訳

○弁護士業務の一つとして遺言書作成のお手伝いがあります。具体的には、遺言書を作成したいお客様から相談を受け、お客様の推定相続人間の人間関係、推定遺産の内容、お客様の遺言内容についてのご希望等をお伺いして、将来、推定相続人間で争いの起きる余地の少ない遺言内容とすべくアドバイスし、私の場合は,原則として公正証書遺言作成を薦めて、公証人を紹介し、遺言作成の段取りと最終的には公正証書遺言の証人になるまでのサービスを提供します。

○弁護士になってこの遺言書作成のお手伝い業務もこなしてきましたが、当初は、当然の如く、私自身が遺言執行者になる遺言書内容にアドバイスしてきました。多くの遺言書サンプルには弁護士が遺言執行者になる記載があり、実際、法律専門家の弁護士が遺言執行者になるのが最も合理的と思っていたからです。

○ところが何件か遺言執行者をこなしている内に、遺言執行者のやることが意外に少ないことに気付きました。更に「相続事件における一部相続人からの依頼と遺言執行者就任3」に詳しく記載したとおり、相続人間で争いがあった場合、いったん遺言執行者になった場合、特定の相続人の代理人となることは、旧弁護士倫理26条及び現行弁護士職務基本規程27、28条に違反するもので、禁止されていることに気付きました。

「相続事件における一部相続人からの依頼と遺言執行者就任3」に記載したとおり、私はその禁止に気付かず、遺言執行者になりながら、特定相続人の代理人としての活動をして事件を無事終了させたことがあります。相手方の弁護士も気付かず何ら問題にされなかったから良かったものの、もし問題にされたら直ちに辞任しないと懲戒問題になるところでした。

○この事件の経験で後で冷や汗をかき、更にこの問題で懲戒処分を受けた弁護士の例を見聞きし、現在は,遺言書作成お手伝い業務を依頼されても,原則として遺言執行者にはなりません。と言うのは、依頼するお客様は万一将来紛争が起きた場合、私に全ての問題解決を依頼したいとご希望されている例が多いからで、将来の紛争に備えて遺言執行者には就任しないことにしています。

○ですから私自身が遺言執行者になる遺言書のアドバイスをするのは、お客様が私の就任を強く希望された場合で且つ遺言内容が法定相続分及び遺留分の規定を遵守し、相続人間の感情的対立もなく、将来、紛争発生の余地が無いと思われる場合だけにしています。