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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故医学の基礎等

関節可動域の測定は極めて難しい−リハビリ専門医ご意見等

「関節の機能障害−関節可動域制限の評価方法1」で、「膝関節可動域制限の評価を巡る自賠責後遺障害等級認定について争いとなっている事案を抱え、この問題についての情報を集めており」と記載していましたが、膝関節に限らず、交通事故で特に後遺障害が問題になる事案を扱う弁護士は、この関節可動域制限についての知識が必要と痛感しております。自賠責後遺障害診断書には各関節可動域制限についての記載欄がありますが、整形外科医でも記載すべき事案で記載していない例、記載しても不正確で大雑把な記載例等が多く見受けられるからです。

○私が交通事故事件を取扱い、多くの自賠責後遺障害診断書を見た経験では、整形外科医ですらこの関節可動域制限の測定方法について正確な知識を持っていないのではと感じた例が多数あります。「関節の機能障害−関節可動域制限の評価方法1」を見た「いっかいのリハビリ専門医」と言う方から、
日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会が策定した「関節可動域表示ならびに測定法」は他動運動のROM計測法です.自動運動の計測方法でゴールデンスタンダードは医学的には存在しません.
 関節の機能障害の評価方法及び関節可動域の測定要領」も拝見しましたが,文章は立派ですが,具体的な計測方は示しておらず,また表は他動ROM計測法の内容しか書いてありませんので,非常な誤解を生んでいます.
 例として頸部の屈曲は原則腰掛け座位で行うと書いてありますが,もし頸部の筋が頭部を支えられないと,重力に引かれた頭部は全部屈曲します.これが自動運動でしょうか? すべてにおいて肢位と重力方向への配慮が欠けており,このまま自動運動を計測することは,障害によっては詐欺同然です.
 過去から現在までの日本の文系社会の四肢体幹の障害診断は「身体障害者意見書(肢体不自由)」を除いて上記の誤解が公・私ともに貫きとおされており頭が痛いです.
 なにせ依頼される方は,医療者が計測できるのが当たり前と思っておられるので,上記のような質問をすると窓口に出られたすべての方はお返事して頂けません.いままで複数回の改善をお勧めしましたが,細かく指定されるほど計測にお付き合いすると裁判で負けるようなものをご指導頂くので,何をかいわんやです.
 上記をわかっている医師は,業務の忙しさの中で,適当に自分で決めた矛盾がない条件で自動ROMを書いてお茶を濁してるのが現実です.
「関節可動域測定法」の自動ROM計測したアメリカの論文も原著を読んでいただければ,健常者に行ったある限られた肢位での計測で,障害者を含めて扱うとやけどをすると思いますので,老婆心ながらご忠告申し上げます.
言う投稿メールでの貴重なご意見を頂きました。

○私が現在扱っている事案は20件ほどありますが、多くは後遺障害の有無、程度が争いになっており、関節可動域についても、胸腰部、肩部、頚部、股関節、膝部等に制限があり、その制限内容についての正確な知識が必要なところ、従前紹介した「労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1」の記載だけでは、なかなか判らない点が多くあります。

○上記「いっかいのリハビリ専門医」さんの投稿で、関節可動域制限測定は整形外科医の中でも「リハビリ専門医」が行うことに思い至り、「社団法人日本リハビリテーション医学会」のサイトを知り、地域別専門医リスト宮城県からたまたま親しい友人とコネクションのある医師をお訪ねし教えを受け、シッカリ勉強する必要性を痛感しました。