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小松亀一法律事務所は、「交通事故」問題に熱心に取り組む法律事務所です。

交通事故医学関連参考図書

関節可動域測定法−可動域測定の手引き紹介1

労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1紹介1」で、Aさん(事故当時60歳)が、交通事故で、右脚大腿骨骨折、右腿骨開放骨折等の重傷を負い、右膝の屈曲角度が60度、左膝が110度の場合、左膝が健側と評価され、自賠責調査事務所からは、右膝屈曲角度60は、左膝屈曲角度110度の2分1以上4分の3以下になりますので、「関節可動域が健側の3/4以下に制限されているもの」として第12級と評価された事例を紹介しました。

○ここでの屈曲角度とは、関節の可動域を言いますが、この関節可動域には、被験者が介助されることなく関節の自動運動を行ったときの可動域である自動可動域と、被検者の力によらず、検者が関節を動かしたときの他動可動域の2種があり、自動車損害賠償責任後遺障害診断書I上肢・下肢および手指・足指の障害の関節機能障害欄には、「日整会方式により自動他動および健側患側とも記入してください」と記載されております。

○Aさんのの屈曲角度について、
大腿骨・下腿骨とも骨折した右膝関節は自動可動域60度・他動可動域70度、
健側とされた右膝関節は自動可動域110度・他動可動域125度、
とされ、自動可動域が11分の6、他動可動域が12.5分の7でいずれも2分の1に至っていないため、「関節可動域が健側の3/4以下に制限されているもの」として第12級と評価されました。

○確かに労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1の75頁では、
関節可動域の測定値については、日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会により決定された「関節可動域表示ならびに測定法」に従い、原則として、他動運動による測定値によることとするが、他動運動による測定値を採用することが適切でないものについては、自動運動による測定値を参考として、障害の認定を行う必要がある
と記載されています。

○Aさんの場合、他動可動域は健側とされた左膝関節110度、左膝関節70度で2分の1以下にはなっていないと評価されました。しかしAさんの左膝は昔転倒事故でひどい打撲傷を受けて以来、関節の曲がりが普通より不自由になっていました。そこでAさんとしては左膝は健側と評価すべきではないと主張しています。

○そこで各関節の平均的可動域を記録した書籍がないものか探したところ、表題の「関節可動域測定法−可動域測定の手引き」を発見し、早速、購入しました。同著のコメントには「ROM測定といえばこの本。2002年に第2版が出版されました。向こうの本を訳したものなので表現的に微妙な部分もありますが、それはそれとして、測定を正しく行うためには必携です.」とあります。