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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

離婚要件

未成熟子が居ても有責配偶者離婚請求認容最高裁判例解説

○「未成熟子が居ても有責配偶者離婚請求認容最高裁判例全文紹介」の続きでその解説です。
有責配偶者離婚請求認容要件は、@長期の別居期間、A未成熟子の不存在、B苛酷状況の不存在の3つで大変厳しく、特にA未成熟子の不存在により、高校生以下の子供が居ると先ず有責配偶者離婚請求が認められないとも考えられていましたが、この平成6年2月8日最高裁判決で、未成熟子がいる場合でも認められる途が開かれ、「前訴確定後8ヶ月後提起二回目有責配偶者離婚請求認容例紹介1」の判例に繋がりました。この判例では認容時、12歳と9歳の未成熟子が居ました。

○平成6年2月8日最高裁判決(判タ858号123頁)の事案概要は次の通りです。年齢は判決時で表示します。
・X男(昭和11年9月15日生、57歳)・Y女(昭和13年9月10日生、55歳)は昭和39年婚姻届け
・XY間には、長女(28歳)、長男(26歳)、二男(23歳)、三男(18歳)の4人の子供が居た
・Xは、昭和54年43歳時に事業に失敗して失踪、別居開始−Yは4人の子供を抱えて最終的には生活保護受給
・Xは、昭和56年頃、二児を抱えるA女と同棲開始
・Yは、昭和60年頃、XがA女と同棲生活していることを知り、再三、手紙・電話で恨みをぶつけ戻ることを催告、XはYへの嫌悪感募らせ、離婚要求意思強まる
・Xは、家裁審判により、昭和63年9月52歳時からYに毎月15万円(毎年7月と12月は各40万円)を送金継続
・XはYに離婚給付として700万円支払提案、Yは未成熟子三男の存在を理由に離婚拒否、長女は結婚、二男・三男も成人して独立


○この経緯を見るとX男は、昭和54年に自分の事業に失敗で、無責任に失踪して、4人の子供を抱えたYは、自宅も競売され、最終的には生活保護を受けるまでに困窮生活をしており、昭和63年家裁での婚姻費用支払命令の審判が出るまで、10年近くXはYに婚姻費用を支払っていなかったようにも見えます。Xは、とんでもない無責任男と評価出来、Y女が、Xに対し恨み辛みを募らせるのは当然です。

○この点について、最高裁判決は「上告人(Y)が今日までに受けた精神的苦痛、子らの養育に尽くした労力と負担、今後離婚により被る精神的苦痛及び経済的不利益の大きいことは想像に難くないが、これらの補償は別途解決されるべきもの」と述べていますが、Xが提案した離婚給付金700万円が、実際、Yに支払われたのかどうか、この最高裁文面からは明らかではありません。

○700万円支払の事実が記載されていないところから、おそらく、支払の事実はなく、YはXに対し婚姻破綻に伴う慰謝料請求として「別途」請求することになります。Xはいったん700万円を支払うと提案しているので、別途請求された場合、速やかに支払うと思われますが、離婚を拒否するYとしては、離婚判決が確定するまでは、700万円を受け取る訳にはいかなかったものと思われます。

○重要なことは、このXのような無責任男でも、13年11月という長期別居期間の経過、家裁審判で命じられた婚姻費用の支払継続によって、まだ18歳の未成熟子が居ても、有責配偶者離婚請求が認められた事実です。有責配偶者からの離婚相談を受けた場合は、この平成6年2月8日最高裁判決(判タ858号123頁)と成15年1月31日那覇地裁沖縄支部判決(判タ1124号244頁)判決の趣旨を理解して、その比較で見通し等の回答が必要です。