本文へスキップ

小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

男女付合・婚約・内縁

男女関係の類型と法的保護程度雑感

○A男は、B女と、半年ほど一緒に暮らしたが、その間、徐々に相性が悪いことが判明し、共同生活を解消することになりました。A男が、別れを切り出したところ、B女は納得できないとして、慰謝料請求をしてきました。このような男女の継続的関係について、どのような場合にB女に慰謝料請求権即ち損害賠償請求権が発生するのかを検討し、備忘録として整理します。このような法律相談が結構あるからです。

○男女の継続的関係については、便宜上、私なりに大雑把に以下の10類型に分類します。但し、具体的事例となると、ケーズバイケースでこの10類型では分類仕切れません。
@性関係なしの友人としての交際
A性関係を伴う友人同士としての交際(性関係相手として非限定)
B性関係を伴う恋人同士としての交際(性関係相手として限定)
C性関係を伴って将来の結婚を同意しての交際(婚約)
D婚姻届をせず将来の結婚意思もない事実上の共同生活関係(事実婚)
E婚姻届をしない将来の結婚意思を伴う事実上の共同生活関係(内縁)
F婚姻届けをした夫婦共同生活関係(婚姻)
の段階があります。
更に他方或いは双方が既婚者で
G将来の婚姻を前提としない性関係を伴う交際(不倫)
H継続的対価を支払っての継続的な性関係を伴う交際(愛人)
I継続的対価を支払っての継続的な性関係を伴う部分的共同生活(二号、妾)

○上記10類型の内、法的保護が可能な関係は、原則としてC乃至Fです。但し、D事実婚とE内縁は、その具体的事情が千差万別であり、法的保護の程度は正にケースバイケースとなります。@、Aの段階では法的保護の可能性は皆無と行って良いでしょうが、B性関係を伴う恋人同士としての交際(性関係相手として限定)の場合で、一方が他方の意思を無視して解消した場合、解消された方からの損害賠償の相談が良くあります。婚姻予約関係が認められない限り、損害賠償請求の保護が与えられないのが原則ですが、その程度によっては保護の対象になる場合もあり、これまたケースバイケースです。

○G乃至Iの3類型は、不倫即ち人倫秩序に反する行為として、法の保護が与えられないのが原則です。しかし、他方或いは双方が既婚者と言ってもその程度が問題であり、婚姻関係が完全に破綻状態にある上での共同生活となるとEの内縁関係、この場合重婚的内縁関係と呼ばれ、ある程度の法的保護がなされます。H、Iは便宜上継続的対価の支払を上げましたが、典型例は対価支払が多いだけで、実際は対価関係がない場合も少なくありません。他方或いは双方が既婚者であっても、既に破綻状態で、将来既婚関係を解消して婚姻するとの合意がある場合は、多少法的保護の可能性も生じるもので、これまたケースバイケースです。

○いずれにしても法的保護の対象になるかどうかは、「婚姻意思」の有無即ち、現在または将来、社会通念上の夫婦関係を営む意思をもって男女の継続的関係に入ったかどうかがポイントになります。実際、弁護士に相談に来る事例は、継続的関係解消について不満を持つ側は、将来結婚出来ると思っていたのに,裏切られたことについて制裁を求めて来る例が圧倒的です。