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小松亀一法律事務所は、「男女問題」に熱心に取り組む法律事務所です。

離婚要件

妻の連れ子を愛さない夫と離婚できるか

○平成19年5月6日(日)放送の人気番組「行列が出来る法律相談所」で「子供を愛さないなんて離婚よ!」 とのトラブルが放映されました。事案は、10歳の子供を連れて再婚したが夫婦の話で、夫は結婚前から妻に対し、子供は嫌いなので最低限の義務しか果たさないと断り、妻もこれを了解しての再婚との前提があり、養子縁組もしていないようでした。

○結婚後、妻の子供は母の夫になつこうとして、色々、話しかけますが、母の夫は、ことごとくこれを無視して、「パパ。パパの背中流しに一緒に入ろうかな…」と風呂場で話しかけた子供に対し、母の夫は、「この際はっきり言わせてもらう。僕は君の母の夫だけど、君の父親ではない!」と無慈悲な言葉を吐き、子供は絶望して母に離婚を迫りました。

○母もさすがに、「君の父親ではない!」と子供に言い放つ夫の冷たさに切れて離婚を迫りますが、夫は、「そんなバカな!親としての務めは最低限果たしているし、虐待したわけでもないだろ!」、「(結婚前から)僕は子供が嫌いだって言ってただろ!イヤなものはイヤなんだよ」と言って取り合いません。

○「行列が出来る法律相談所」が始まって相当年数が経つはずですが、さすがにネタ切れになってきたのか、最近は不自然な事例が目立つように感じます。連れ子のある女性が結婚を考える場合、連れ子を嫌いだと公言する男性と敢えて結婚に踏み切り、また男の側からも、嫌いな連れ子のある女性に結婚を申し込むとは思えません。

○しかし、この感覚は普通の人間のものですが、最近は、妻の連れ子を夫あるいは夫婦で虐待し、最悪の場合死亡させたとのニュース報道も増えており、虐待には至らない上記のような例が実際にも増えているのかも知れません。しかし仮に増えているとしても全く異常な例外的事案と思いたいところです。

○このような異常な例外的事案を取り上げるのはいかがなものかと思いましたが、なつこうとする10歳の子供に「僕は君の母の夫だけど、君の父親ではない!」と冷たく言い放つ行為は、精神的虐待と評価して良いと思います。

○これを「そういう人もちゃんとした結婚生活を営む権利がある」、「通常の夫としての義務を果たしている」と離婚理由には当たらないとする北村、住田両弁護士に見解には唖然としたところ、橋下弁護士は、北村、住田両弁護士に対し、「人間じゃない」、「鬼」、「悪魔」と言い放ちましたが、全く同感でした。これらの遣り取りは、おそらく綿密に練られたシナリオがあるのではと思いますが、北村、住田両弁護士は損な役割を演じられました。あくまで推測ですが。